北陸新幹線開業を間近に控え、何かと注目されている富山県。データで富山県を見てみると、実は絵に描いたような"古き良き日本"の姿が今も残っているよう。そんな富山県に多い名字を調べてみたら、結構特徴があることが分かった。
「林」さんが2位なのは富山県のみ
富山県の名字ランキングベスト30の第1位は「山本」さん。富山県に「山本」さんはおよそ1万2,000人住んでいる。「山本」さんの全国順位は7位で、富山県を含めて石川県、奈良県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、高知県の8県で1位となっている。
2位は「林」さんで、「林」さんが2位という上位にランクインしているのは全国で富山県のみ。「林」さんの語源は、草木を生やすことを意味する「ハヤス」との説があり、林連、林大臣、林臣、林宿禰など古代から存在していたとされている。ちなみに、「林」さんは全国におよそ57万人みられ、全国最多の一文字姓である。そして3位は「吉田」さんで、富山県にはおよそ9,200人いる。こちらは全国11位となっている。
富山県民は"田"が多い!?
富山県ならではでいうと、全国30位以内では"田"のつく名字は6種なのに対し、富山県では倍近い11種の"田"のつく名字がランクインしている。中でも、3位の「吉田」さん(全国11位)、11位「高田」さん(全国76位)、12位「中田」さん(全国119位)、26位「島田」さん(全国109位)、28位「沢田」さん(全国197位)は、各名字における都道府県別ランキングで富山県が最上位である。
富山県は耕地面積の95.8%(2014年7月15日現在、農林水産省調べ)を水田が占めている土地のため、現在でも水田にルーツがある"田"のつく名字の方が多く居住していると考えられている。特に「沢田」には"山峡の水田"という意味があるため、黒部ダムがある立山を始めとした山と水田が豊富にある富山県の特徴と一致しているといえそうだ。
巨人創設者の「正力」さんも富山県民
富山県出身の有名人には、日本初のプロ野球チームである大日本東京野球倶楽部(現在の読売巨人軍)を創設した「正力松太郎(しょうりきまつたろう)」がいる。「正力」さんは全国人数およそ300人のうち、およそ60人が富山県民だ。
富山県ベスト30にランクインした名字を見てみると、お笑いコンビハイキングウォーキングの「松田洋昌(まつだひろあき)」さんがいる。他にもランク外の名字では、タレントの「柴田理恵(しばたりえ)」さん(富山県56位)、安田財閥の創設者「安田善次郎(やすだぜんじろう)」(富山県100位)などがいる。
珍名が多いのも特徴のひとつ
一方、富山県にみられる珍しい名字は、「酢(す)」さん(全国人数およそ10人)、「飴(あめ)」さん(およそ200人)、「魚(さかな)」さん(およそ200人)、「波(なみ)」さん(およそ300人)、「菓子(かし)」さん(およそ300人)、「村椿(むらつばき)」さん(およそ1,300人)など。また、現在も地名がある「氷見(ひみ)」さん(およそ1,600人)、富山県大門町がルーツのひとつである「二口(ふたくち)」さん(およそ2,700人)も興味深い。
富山県の中でも射水市新湊は、特に珍名の多い地域として知られている。新湊市史によると、明治8年(1875)にすべての国民に苗字を義務付けた「平民苗字必称義務令」が出された際、新湊では前述の「菓子」さんのような職業にちなんだ名字を名乗る方が多く存在し、現在でも珍しい名字が多い地域になったと言われている。
県名と同じ「富山」さんはというと、全国人数はおよそ2万2,200人。しかし、「富山」さんのルーツのひとつは現在の鹿児島県にあたる大隅と言われているためか、富山県にみられる人数はおよそ200人とそれほど多くはないようだ。
富山県には"田"のつく名字が多数みられた一方で、全国順位1位の「佐藤」さんは55位、全国2位の「鈴木」さんは87位だった。名字の傾向が全国と大きく異なり、珍しい名字も散見する富山県の名字は非常に特徴的と言えるだろう。
※ランキングは、月間400万アクセスの「名字由来 net」アプリと「名字由来 net(Web)」の名字データベースから、電話帳データをもとに富山県・全国で実世帯が確認できるもののみを集計し、人数の多い順に抽出。100人未満四捨五入により算出している。本文と写真は関係ありません
筆者プロフィール: 名字由来 net(リクルーティング スタジオ)
月間400万アクセスの「名字由来 net(アプリ・Web)」や月間200万アクセスの「無料 赤ちゃん名づけ」アプリなど、名字・名前・家系図に特化したサービスをアプリとWebで提供している。「名字由来 net」はApp Store 総合第1位200万ダウンロード、「無料 赤ちゃん名づけ」は App Store、Googleplayジャンル第1位の実績。名字情報を生かしたシミュレーションゲームアプリ「戦国村を作ろう!」に引き続き、2014年11月には「世界村を作ろう!」をリリース。また同月より、調査・作成した家系図をデジタルデータとして半永久的に家の歴史を保管・管理できる「家系図作成サービス(生涯データサポート)」を開始した。