大家族で持ち家暮らし。富山県には伝統的な日本の姿がある

雪深いところという印象が強い富山県。データをひもとくと、そこには古き良き日本がありました。

稲作全国1位に消費は2位

富山県と言えば雪。年間降雪量は383cmで4位(1980年~2010年の平年値 全国平均101cm)で、年間雪日数は56.0日で10位(全国平均32.6日)とともに上位。このほか、年間雨日数が79.1日で2位、年間相対湿度は77%で1位と湿度が高い反面、年間日照時間は1,612.1時間で45位と短く、雪や雨が多く、日照時間が短い特徴があります。

雪や雨が多く豊かな水に恵まれた富山県は稲作が盛んで、農業生産額に占める米生産額の割合が70.43%で全国1位(2012年 全国平均21.53%)。県民も米好きで、一世帯あたり米消費量は104.18kgと、静岡県に次ぐ2位となっています(2008年 全国平均86.33kg)。

広い持ち家に大家族で住む

稲作が盛んな農村社会を思わせるのが住宅の状況で、持ち家率は77.47%で2位(2008年 全国平均61.12%)、持ち家住宅述べ床面積は177.33平方メートルで全国1位の広さです(2008年 全国平均121.03平方メートル)。さらに、人口100人あたり三世代世帯人数が29.45人で5位(2010年 全国平均14.55人)と高い一方、核家族率は71.61%で42位(2010年 全国平均84.62%)と低く、広い持ち家に大家族で住むのが富山県の特徴です。

大家族の支えがあるためか、共働き率が66.31%で4位(2010年 全国平均53.92%)と高め。男性育児参加率は33.7%で5位(2006年 全国平均25.4%)、100世帯あたり子育て世帯数が28世帯で9位(2010年 全国平均25世帯)、100世帯あたりの父子・母子家庭の数は1.37世帯で44位(2010年 全国平均1.63世帯)と、ワーキングマザーとイクメンが家族で子どもを育てていると言えそうです。

安定した職場環境に優秀な子供

ではどういうところで働いているか見てみると、製造業従業者数が生産年齢人口100人あたり18.69人で2位(2007年 全国平均10.26人)と製造業で働く人が多く、工業生産額もひとりあたり358万円で10位と高くなっています(2007年 全国平均264万円)。

また、正社員数も人口100人あたり31.05人で3位と高く(2012年 全国平均27.55人)、雇用者に占める非正規労働者の割合は32.89%で46位(2012年 全国平均38.15%)と、安定した職場環境が整っています。そうした家庭の事情もあってか、子供は全国学力テストが6位(2013年)、受験生1,000人あたり東大合格者数は3.43人で6位(2014年 全国平均2.87人)と学業優秀な傾向があるようです。

水が豊かな田園地帯の大きな家、大家族、安定した職場、学業優秀な子ども。まるで絵に描いたような"古き良き時代"を体現しているが富山県と言えそうです。

富山県と他都道府県の相関図。同じ甲信越のほか、東北とも似ている

700以上のランキングから、富山県の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤は似ている県、青は正反対の県、黄色はどちらでもない県。東北から中国にかけて、全体的に日本海に面している県と似ている傾向があることが分かります。

※本文と写真は関係ありません

筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)

統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。