米Appleがアクションスポーツの撮影に利用できるカメラシステムの特許を取得したことが、米特許商標局(USPTO)が公開した資料で明らかになった。資料の「考案の背景」で、AppleはGoProの「GoPro HD Hero2」と比較しながら考案したカメラシステムの有用性を説明している。13日にAppleの小型アクションカメラ市場参入の可能性が報じられると、同日のNASDAQ市場でGoPro株が急落した。

13日に成立したAppleの特許は「Digital camera system having remote control」(US 8,934,045)。イメージキャプチャ(カメラ)モジュールとリモコンモジュールで構成されたデジタルカメラシステムで、2つの撮影システムの連係と、リモコンモジュールを効率的に機能させる電力管理システムを特徴としている。

左がイメージキャプチャモジュール、右がリモコンモジュール(出典: USPTO)

GoPro HD Hero2の場合、1つの撮影システムで撮影するため風や振動によるブレやノイズの補正に限界がある。Appleのカメラシステムのイメージキャプチャモジュールは2つの撮影システムでキャプチャしたデータを組み合わせて効果的に補正する。複数の撮影システムを備えたテレカンファレンスシステムのようにカメラの設置に制限はなく、ヘルメットやハンドルバーに装着して激しい動きの中で撮影できるソリューションとなっている。

特許資料に描かれているリモコンモジュールは、スマートウオッチのような形をしている。イメージキャプチャモジュールと無線で接続し、リモコンモジュールでイメージキャプチャモジュールのステータスを確認して操作も行える。カメラに変化があるたびにリモコンモジュールが通知を受け取っているとすぐにバッテリーを消費してしまうが、低電力ステートで待機し、ユーザーの操作に応じて通常電力ステートに復帰してイメージキャプチャモジュールからステータス情報を引き出すことで効率的に機能する。

Appleの小型アクションカメラ市場参入は?

今回Appleが特許を取得したカメラシステムは、2012年に米連邦破産法11条(民事再生法に相当)の適用を申請したEastman KodakからAppleが買収した画像関連特許に含まれていたものだ。小型アクションカメラを意識したシステムだが、Appleのプロジェクトの成果ではなく、元はKodakのプロジェクトだった。そのためAppleの小型アクションカメラ市場参入を示すものではないと見る向きも多い。GoPro株の急落を引き起こしたが、現段階では可能性の1つでしかない。また"可能性"を論じるなら、今回取得した特許技術はiPhone/iPadとApple Watchの連係に活用される可能性も考えられる。