経済協力開発機構(以下、OECD)は2日、報告書「今後50年間の政策課題」を発表した。それによると、世界の成長率は2010年~2020年の3.6%から2050年~2060年には2.4%へと鈍化すると予想。技能が極めて重要な役割を持つようになり、賃金格差が拡大すると見ている。

同報告書は、二酸化炭素排出量の増加を抑制しない限り、気候変動は世界のGDPを平均1.5%、南・東南アジアのGDPを平均6%押し下げることになると警告。政策転換がなされなかった場合、OECD加盟国は2060年までに所得格差は現在の米国レベルまで拡大し、経済成長を妨げることになると懸念している。

世界GDP成長へのOECD加盟国・非加盟国の貢献(年平均、2005年PPPベース)(出典:OECD Webサイト)

先進国と新興国の間にあった収入格差が縮小することで、先進国への経済移民のインセンティブが低下。移民の減少は、高齢化がもたらす人口動向の圧力をより強めることになると見込んでいる。このような「二重の圧力」により、2060年までに総労働人口が現在のベースラインから米国では20%減少、ユーロ圏では15%減少すると予測している。

また、新興国間および新興国を相手とする貿易のシェアが大幅に増加し、貿易と産業特化の構造が移行するとの考えを示している。

政策決定者は今後、労働および生産市場にダイナミズムを注入することが求められるほか、イノベーション、生産性、雇用を維持することが必要となると指摘。格差拡大に対応するには、より効率的な分配政策、機会均等への注力、公共サービスや税構造の予算確保制度の見直しが不可欠だとしている。