JR東日本は8日、新幹線と首都圏在来線で今後取り組む雪害対策について発表した。大きな輸送障害を発生させた今年2月の豪雪と同程度の降雪時にも可能な限り運転を継続させるべく、除雪などの体制づくりと施設の整備などに取り組むとしている。

今年2月の記録的な豪雪などにより、首都圏の在来線でも大きな輸送障害が生じた

新幹線ではこれまで、地域ごとの降雪量に応じて降雪対策のための設備を備えているが、今後は降雪量が少ない地域へも設備を強化する。とくに、降雪や凍結によってポイントが動かなくなる「ポイント不転換」の防止に力を入れ、上野駅、高崎駅などの拠点駅では、温水ジェット式の急速除雪装置全17台を分岐器に整備。あわせてポイント不転換を検知した時点で、自動的に温水を噴射するように121台の分岐器で装置の改修を行う。

拠点駅ではその他、積雪を防止する電気温風式融雪装置を40台の分岐器に、車両が持ち込む雪を融かす融雪マットを88台の分岐器に、それぞれ導入する。また、除雪体制の強化を図るべく、高崎駅、軽井沢駅、鷲宮保守基地、那須塩原駅、郡山駅、福島駅、新幹線総合車両センターに除雪機械を増備。降積雪状況をリアルタイムで把握できるよう、新幹線の主要駅構内、車両基地、保守基地など122箇所に沿線監視カメラも導入する。

首都圏在来線でも同様に、ポイント不転換対策や除雪体制の強化を推進。首都圏にある分岐器約3,900台のうち、すでに電気融雪装置を導入している1,500台に加え、2017年度末までにさらに700台を増備する計画だ。高崎駅、四方津駅、酒折駅、小淵沢駅、宇都宮駅では除雪機械を増備。また、中央本線高尾~小淵沢間の無人駅と交通量の多い踏切などを中心に、38カ所に沿線監視カメラを設置し、速やかな降積雪状況の把握に努めるとしている。

さらに、輸送障害により利用者が駅などで一時的に過ごさざるを得ない場合を想定し、毛布のように体にまとうための防寒シートなどの雪害用備蓄品を約200駅に配備するという。JR東日本によると、今回発表された雪害対策の施設整備などに投じる工事費は約180億円。今年度から2017年度までの4カ年をかけて整備に取り組むとしている。