高梨沙羅選手の金メダルに期待がかかるスキージャンプ(画像はイメージです)

ロシアで開催中のソチ五輪で11日(日本時間12日未明)、スキージャンプの女子ノーマルヒル個人・決勝が行われる。ワールドカップ通算19勝の高梨沙羅選手に金メダル獲得の期待が高まるが、競技ルールを知っておけば、観戦も一層楽しくなるはず。しっかり"予習"して、歓喜の瞬間を迎えよう。

飛距離点って何?

ジャンプの順位を決めるポイントは、「飛距離点」と「飛型点」で構成されている。飛距離点はその名の通り、飛んだ距離をポイント化とし、飛型点はジャンプの美しさなどをポイント化したもの。選手には通常、2回の競技機会が与えられ、2回の合計ポイントで順位を決める。ジャンプ競技を観戦する際は、この飛距離点と飛型点のルールをしっかりと押さえておこう。

まずは飛距離点から。飛距離点はK点という場所を基準に考える。K点は各ジャンプ台で異なるが、どのジャンプ台でも

K点着地=60ポイント

と計算。そこから飛距離に応じてポイントが加減される方式だ。

加減されるポイントはK点の距離によって異なる。K点が80m以上100m未満なら、1mにつき2.0ポイント、K点が100m以上170m未満なら、1mにつき1.8ポイントだ。

実際に計算してみよう。例えば、ソチ五輪の男子ノーマルヒル(K点=95m)で105mを出した場合の飛距離点は

60+10×2.0=80ポイント

となる。逆に85mしか飛べなかった場合は

60-10×2.0=40ポイント

というわけだ。

飛型点って何?

次にジャンプの美しさや正確さ、着地姿勢を表す飛型点だ。飛型点は最高で60ポイントで、5人の審判員によって採点される。審判員は、ジャンパーの飛び出し直後から着地時までの一連の動きをジャッジ。「タイミングの正確さ」「連続動作の完璧さ」「着地後の安定性」などで飛型点を算出する。

5人の審判員は20点満点で、ジャンパーの飛型点が何点かを採点。審判員が出した飛型点のうち、最高と最低の数値を除いた3つの数値の合計が、その選手の飛型点となる。

ただ、この飛型点は減点対象が数多く存在する。例えば、着地後に転倒ラインの手前で転倒してしまったり、着地後にテレマークを入れてなかったりすれば減点となる。

テレマークとは、着地するときに定められた姿勢のことを意味する。高い飛型点を得るには、着地の際に両足を前後に開き、腕を左右に上げた状態を維持してなければならない。高梨選手はかつてこのテレマークを苦手としており、飛型点で伸び悩んでいた。ただ、最近は課題であったテレマークも改善の兆しが見られているようだ。

その高梨選手が出場する女子ノーマルヒル個人・決勝は、12日の2時30分から開始予定。今シーズンのワールドカップで13戦10勝の高梨選手には、初代ジャンプ女王への期待が高まる。

葛西選手「メダルに挑みたいと思います!」

そして、男子ノーマルヒル個人で8位に終わった葛西紀明選手が"リベンジ"をするためのラージヒル個人決勝とラージヒル団体は、それぞれ16日の2時30分、18日の2時15分から始まる予定だ(時間はすべて日本時間)。

葛西選手は10日にブログを更新し、ノーマルヒルでのジャンプは「練習よりは良いジャンプだったけど、やはり2本ともタイミング少し遅れちゃってる」と、微妙なズレがあったことを告白。ジャンプする瞬間のタイミングと着地をしっかり修正した上で「メダルに挑みたいと思います!」とつづり、メダルへの意欲を見せている。

メダル獲得の可能性が高い日本ジャンプ陣。かなり眠い時間帯だが、遠く離れた日の丸飛行隊に届くぐらいのエールを日本から送ろう!