消費者庁は4日、視力を回復させるレーシック手術で、過矯正による遠視や、それに伴う頭痛や吐き気などの体調不良に陥るケースが報告されているとして、手術を安易に受けることは避け、リスクの説明を十分受けるよう注意を促した。

眼鏡やコンタクトレンズを使わず、手術的に近視や乱視を矯正する方法を屈折矯正手術という。近年は、主に近視の矯正を行うため、特殊なレーザー(エキシマレーザー)により、角膜の屈折力を調整して視力を回復するレーザー屈折矯正手術が開発され、それを通常レーシック手術と呼んでいる。

屈折矯正手術の施術方法(出典:消費者庁Webサイト)

事故情報データバンクには、レーシック手術に関する危害情報が、2009年度から2013年11月8日までに80件登録され、このうち、消費者安全法の重大事故等として公表したケースは7件。自覚症状の内容としては、過矯正による遠視が最も多かったほか、乱視、光をまぶしく感じる、ドライアイ、目の痛み、見え方に起因する体調不良なども確認されている。

また、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、レーシック手術に関する相談が、2009年度から2013年度までに315件寄せられている。内容は、視力が上がらなかったなどの施術不良に関する相談のほか、リスクなどの説明不足に関する相談、インターネット広告や医療機関のWebサイト上の表示などに関する相談など。このうち、インターネット広告については、消費者がサービスの質について誤解する可能性のある情報を掲載しているものがあり、これらの一部には関係法令に抵触する恐れがあるものも見られた。

消費者庁が2013年11月に実施したレーシック手術経験者を対象としたアンケート調査によると、手術後に「希望した視力になった」人は74.3%。一方、「希望した視力に届かなかった」の13.0%、「一旦は希望した視力になったが、元の視力に戻ってしまった」の5.0%を合わせると、約2割は希望した視力を得られていないことがわかった。また、5.0%は「矯正され過ぎた」と答えていた。

手術後に視力以外の症状や不具合が生じていると回答した人は43.2%。最も多かった症状・不具合は「光がにじんだりギラギラしたりする」で、次いで「ドライアイが続いている(6カ月以上)」、「暗いところで見えにくくなった」と続いた。

レーシック手術を受けた後に発生した視力以外の症状や不具合(出典:消費者庁Webサイト)

消費者庁では、レーシック手術を検討する際は、安易に手術を受けることは避け、インターネットなどから得られる情報を十分に吟味するよう注意を呼びかけるとともに、手術を受ける際は、リスクについて医療機関から十分な説明を受けて理解した上で、本当に手術が必要かどうか、よく検討してほしいとしている。