社員への理念の浸透は必要か

HRプロが展開する、HR総合調査研究所は、上場及び未上場企業の人事担当者を対象に「企業理念浸透に関するアンケート調査」を実施。その結果、「企業理念の浸透」が必要だと考えている人は98%にのぼっているのに対し、取り組みの結果「企業理念が社員に浸透している」と認識している企業は6%にとどまることが分かった。調査期間は8月26日~27日。

理念浸透の必要性はほとんどの企業が認識している

社員に企業理念を浸透させることの必要性をたずねたところ、98%(「やや思う」を含む)の企業が重要だと認識しており、残り2%も「わからない」であり、否定的な企業は皆無だった。

理念浸透の目的

また、理念浸透の主な目的についても聞いてみたところ、最も多かったのは「企業経営の方向性の明確化(74%)」。次いで、「社員の行動規範(55%)」、「企業文化・社風の良質化(51%)」となっている。

具体的な施策を講じている企業は3社に2社

理念浸透のために施策を講じているか

98%が業理念を浸透させることの重要性を認識している一方で、取り組みの結果「企業理念が社員に浸透している」と認識している企業はわずか6%。また、具体的な施策を「講じている」(「やや講じている」を含む)とする企業は66%にとどまり、3分の1の企業は施策を講じていないことがわかった。なお、「講じている」と回答した企業でも、「やや講じている」程度の認識の企業が過半数を占めている。

理念は浸透しているか

理念の浸透が進んでいないとする企業に阻害要因(課題)を聞いてみたところ、最も多かったのは「経営層が旗振り役になれていない(54%)」で過半数を占めた。経営理念は策定したものの「お飾り」になっている企業が多いことがうかがえる。

次いであげられたのが、「社員の帰属意識の希薄化(38%)」、「企業理念に基づいた体制・制度になっていない(30%)」。このことから同社では、「『理念に沿った行動』よりも『売上至上主義』の評価制度などにならないよう、調整をしていくことが求められている」と分析している。

なお、今後新しく取り組みたい施策を聞いたところ、最も多い回答は「企業理念(ナレッジ)の共有化を推進するイベント、仕組みづくり(31%)」で、「企業理念に基づいた企業文化・組織体制・社内制度(29%)」、「管理職・一般職を対象にした企業理念教育(29%)」、「分かりやすい表現での明文化(27%)」と続いた。