原子力規制委員会はこのほど、医療素材などを取り扱うJSRライフサイエンス(茨城県・つくば市)から、放射性同位元素アメリシウム241(以下、アメリシウム)を3.0メガベクレル(300万ベクレル)装着した機器を、誤って産業廃棄物として廃棄したとの報告を受けたと発表した。

発表によると、JSRライフサイエンスは2013年3月12日、密封されたアメリシウムを3.0メガベクレル装着した機器(微粒子の径を測定する装置)1台を、産業廃棄物として収集運搬業者に引き渡した。その後、8月16日に収集運搬業者から部品取付方法変更の連絡があり、その際、アメリシウムは産業廃棄物として廃棄することができないと説明を受け、誤廃棄が発覚した。

アメリシウムは、直径25ミリメートル、厚さ1ミリメートルの金属板表面に置かれ、金属の薄膜で覆われていた。同機器は、収集運搬業者に引き渡された後、中間処分業者(シュレッダー処理後、磁力により鉄を除去して残渣を搬出する業者)を経て、最終処分業者(焼却処理後に銅を回収し、残渣をコンクリートの成分としてリサイクルする業者)に引き渡されていたという。

原子力規制委員会では、アメリシウムは産業廃棄物施設でリサイクルされ、「他の廃棄物とともに混合され希釈された可能性が高い」と推測している。同委員会は、JSRライフサイエンスに対して厳重注意を行うとともに、アメリシウムの誤廃棄に至った経緯、原因、再発防止対策を取りまとめて報告するよう要求。併せて、アメリシウムの行方を徹底して調査するよう指示した。

同社の親会社であるJSRは、関係者に謝罪するとともに、「今回の事態を重く受け止め、調査および原因究明、再発防止に努めていく」としている。