実験1:果汁が、飲酒後の血中アルコール濃度に与える影響

アサヒ飲料はこのほど、アサヒグループホールディングスのイノベーション研究所と共同で、オレンジ果汁にアルコール代謝を促進する機能があることを実験で明らかにし、その機能が果汁に含まれる糖・有機酸による効果であることを確認したと発表した。

同研究は、これまで一般に調査されていない"果汁のアルコール代謝への影響"について、オレンジ果汁に注目し、実施したもの。結果は、8月29日から31日に開催された日本食品科学工学会で発表された。

オレンジ果汁に、飲酒後の血中アルコール濃度を低下させる機能

オレンジ100%果汁、およびオレンジ3倍濃縮果汁(100%果汁を3倍に濃縮したもの)と、比較するために水を用意し、それぞれ空腹状態のラットに与えた。30分後、エタノール5%液をラットに与え、1時間後、2時間後の血中アルコール濃度を測定した。

さらに、果汁に含まれるどの成分がアルコール代謝に影響を与えるかを調べるために、オレンジ100%果汁、オレンジ3倍濃縮果汁に加えて、糖液、有機酸液、糖・有機酸の混合液(いずれもオレンジ3倍濃縮果汁と同濃度に調整)で、同様に測定した。

オレンジ100%果汁を与えたラットでは、60分後の血中アルコール濃度が、水と比較して約3割低下した。またオレンジ3倍濃縮果汁を与えた場合では、水と比較して約8割低下した。

以上の結果から、オレンジ果汁には、飲酒後の血中アルコール濃度を低下させる機能があり、濃度が高いほど、血中アルコール濃度を低下させる働きが大きいということが明らかとなった。

血中アルコール濃度低下は、糖と有機酸による効果と推測

糖液、有機酸液、糖・有機酸の混合液で同様の試験を行った場合、糖液、有機酸液では血中アルコール濃度がオレンジ100%果汁と同程度まで低下した。また糖・有機酸の混合液は、オレンジ3倍濃縮果汁と同程度まで血中アルコール濃度が低下した。

 

実験2:血中アルコール濃度に影響を与える、果汁成分の推定

飲酒後の血中アルコール濃度を低下させる機能は、果汁に含まれる糖と有機酸による効果と推測された。これは栄養吸収により肝臓でのアルコール代謝が促進されるとともに、胃内での滞留時間が長くなり、胃内でのアルコール代謝が進んだためと考察される。

同社では、今後は、血中アルコール濃度以外の指標を用いて測定を行い、果汁によるアルコール代謝への効果について研究を行う予定としている。その他、詳細は同社ニュースリリースにて確認できる。