AKB48のメンバー84人とAKB48グループ総支配人・戸賀崎智信氏が読書感想文に挑んだ集英社文庫の夏フェア「ナツイチ」キャンペーンで、大島優子、指原莉乃ら12人の読書感想文が公開された。

ナツイチ選抜の7人(上段左から小嶋陽菜、大島優子、高橋みなみ、篠田麻里子、下段左から島崎遥香、渡辺麻友、横山由依)

「ナツイチ」は、1991年から「夏の一冊」(通称:ナツイチ)としてスタートした集英社文庫の夏のフェアで、昨年は5,800軒の書店が参加した。今年は85作品の集英社文庫が対象となり、15代目イメージキャラクターを務めるAKB48は、キャンペーンの一環として対象作品の読書感想文を1人1作品発表する。

読書感想文は7週にわたって発表され、大島優子、篠田麻里子、横山由依、島崎遥香、高橋みなみ、小嶋陽菜の"ナツイチ選抜"は、1週につき1人ずつの公開となる。第1弾(7月13日~19日)は大島、指原をはじめとした12人。以降、第2弾(7月20日~26日)に篠田、第3弾(7月27日~8月2日)に横山、第4弾(8月3日~9日)に渡辺、第5弾(8月10日~16日)に島崎、第6弾(8月17日~23日)に高橋、第7弾(8月24日~9月1日)に小嶋と続き、第6弾までは12人、第7弾は戸賀崎氏を加えた13人が公開される。

メンバー渾身の感想文は、集英社文庫「ナツイチ」の特設サイトで読むことができるほか、9月1日まで開催されるフジテレビのイベント「お台場合衆国2013」のAKB48お台場りんかい学校特設ブース内でも掲出。また、今回の公開に合わせて、「『ナツイチ』AKB48重大発表!特報」と題し13日、東京・秋葉原、新宿、池袋、渋谷の各地でビラが配布された。

■大島優子 「共喰い」(著者:田中慎弥)

共喰いを読んで

 まず私は、この本の題名について考えてみた。今まで見たことがない「共喰い」は「食」だと思っていた。

 元々の意味は、ある個体が同種の他の個体を食べることや共倒れすることも共食いと呼ばれている。この「喰」は、くらう、楽しみの為の食事ではなく、生存の為の食事を意味するので、登場人物の生きようとする生命力を表す為に使ったのではないかと私は考えた。

 この本を読み終えて、登場人物の心情や言動から「喰い」が「悔い」に変わった。なぜならば、何かしらの悔いを一人ずつから感じたからである。

 父親・円は、自らのインモラルな性を持ち、同じ血を引き継いだ息子の心の葛藤に気付かず、かつて愛した女性に復讐されるほど傷つけたことを悔いるだろうと思った。

 遠馬の産みの母・仁子は、自ら身の危険を感じて離れたことで、周りにいた人が危険にさらされた。その事を悔いていると思った。

 遠馬は、社に行かなかった事、父親と母親を見殺しにする事、そして自分の生活を滞っている川辺と同様に何も変えられなかった事など、全ての事に悔いていると思った。この三人の登場人物は、共悔いをして、共倒れした気がした。

 この本には多くの情景描写が登場する。川は淀んでいて、閉鎖的な空気感と主人公・遠馬の心の中を表している。川の様子が解りやすく、私の頭の中で絵が浮かび、あれよあれよとページをめくっていた。鳥居の存在は、唯一神聖な物として登場し、驚きの結末にはその意味を根強く印象づけている。決して明るい作品ではないけれど、剥き出しになった人間臭さは嫌ではなく、むしろ独特の世界観にひきこまれていった。私は、後悔しないように足下の石を拾い、川を渡り、夢に向かって喰らいついていきたいと思った。

■指原莉乃 「百夜行」(著者:東野圭吾)

百夜行を読んで

 私には、趣味がない。休みの日は家から出ず、移動中は常に爆睡。そんな私にうってつけのお仕事がきた。それがこの、読書感想文。本を読むのは好きじゃないけど、お仕事だと思えば読める。休みの日も、移動中も「やらなければいけないこと」ができたのだ。一日を無駄に過ごす休日がなくなるかもしれない!そんな喜びも束の間。一冊の本が課題本だと手渡される。ぞっとした。何にぞっとしたかというと、その分厚さ。私の課題本は八百ページ超え、「白夜行」だった。

 移動中も、休日も、本を読み続けた。読み始めた時は、乗り気ではなかったけど、気がついた頃には完全に魅了されていた。主人公たちにまとわりつく様々な事件。そして、交わる点と点。その度に、そう来たかー。と声を漏らし、その考え尽くされたストーリーに感動した。我ながらいい読者である。

 私が気になったのは、主人公二人の感情。作中、二人の感情が書かれることはない。けれど、読み進めて行くうちに、二人がお互いにとっての「光」だったんだとわかってくる。捻くれてしまった感情が二人の絆を強くしていく。最後までわからないその感情に何度もゾクゾクした。

 本当なら共感した事を書きたいが、全く共感できなかった。あの主人公に共感できる人なんてなかなかいないだろう。インストントンが食べたいのにお湯がないなんて私の苦悩は主人公からしたら、しょうもないのだろう。ただ全く共感できないからこそ物語に引き込まれ、感嘆のあまり何度もため息をついた。

 本を読み終えた私は、東野圭吾さんの別の作品を買った。好きではなかった、本を読むということに、ワクワク感を覚えている。今でにない感覚。

 私に初めて「趣味」ができた。


※集英社文庫編集部・宣伝部より 本人が書く読書感想文という企画の性格上、メンバーの思い込み、思い入れおよび誤字脱字はあえてそのままにしています。ご理解のうえ、お楽しみください。