産業能率大学は4日、「上場企業の課長に関する実態調査」の結果を発表した。同調査は、2012年12月7日~10日の期間にインターネット上で行われ、従業員100人以上の上場企業に勤務し、部下を持つ30~50代の課長600名(男性583名、女性17名)から有効回答を得た。

同調査で、仕事におけるプレイヤーとしての割合について、選択肢から当てはまるものを選んでもらったところ、99.2%がプレイヤーとしての役割を兼務していることが判明。さらに、プレイヤーとしての役割が「51%以上」と答えた人が約半数の48.2%を占め、2年前の前回調査より8.2ポイント増加したことがわかった。

プレイヤーとしての仕事の役割(出典:産業能率大学Webサイト)

マネジメント活動を振り返る時間が「取れていない」と回答したのは67.5%。プレイヤーとしての役割を兼務することで、「マネジメント業務に支障がある」と答えた人は58.1%に上った。

課長として悩みを感じている割合は88.8%。悩みの種類で最も多かったのは「部下がなかなか育たない」で41.8%だった。以下、「業務量が多すぎて余裕がない」が37.3%、「上司と考え方や意見が合わない」が22.8%、「部下の人事評価が難しい」が21.7%と続いた。

部下の育成について自分で「できていない」と感じるものを聞くと、トップは「自分以外で若手を指導・育成する人材の育成」で37.5%。次いで、「メンバーの育成目標・計画の策定」が31.2%、「部下が1人で仕事を完結させるような経験の付与」が30.7%となった。

課長自身が不足を感じる能力については、「戦略的にものごとを考える能力」が32.8%で最多。以下、「語学力」が26.2%、「職場の構想を描く力」が21.3%と続いた。強化したい能力としては、「語学力」が最も多く49.3%。次いで、「戦略的にものごとを考える能力」が39.8%、「部下を育成する力」が31.3%となった。

現在の勤務先で最終的にどのようなポジションに就きたいか質問すると、トップは「部長クラス」で38.5%。以下、「現在のポジションを維持する」が33.0%、「プレイヤーの立場に戻る」が13.5%、「役員クラス」が12.2%、「経営者(社長)」が2.8%と続いた。役員クラス以上のポジションに就きたいと答えた人は、計15.0%と2年前から6.2ポイント減少したのに対し、「プレイヤーの立場に戻る」とした人は3.9ポイント増加した。

最終的になりたい立場・役職(出典:産業能率大学Webサイト)

また、管理する職場の中に、メンタルヘルスに不安を抱える部下がいるかどうか尋ねたところ、およそ3人に1人の37.7%が「いる」と回答。このうち、メンタルヘルスに不安を抱えながら勤務を継続している部下は60.2%に上った。