「家族の絆はさらに深まった」と語ったアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピット (C)BANG Media International

米女優のアンジェリーナ・ジョリーが14日、米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、遺伝性のがんを予防するために両乳腺切除手術を受けたことを発表した。

母親のミシェリーヌ・ベルトランさんを2007年に卵巣がんで亡くした今年37歳のアンジーは、現在健康であるものの「BRCA1」と呼ばれるがん遺伝子があると診断されたという。「BRCA1」は乳がんと卵巣がんの発症率が高くなり、アンジーはこのリスクを軽減するために乳房の切除手術に踏み切り「発症率には個人差があるようですが、87%の確率で乳がん、それに50%の確率で卵巣がんになる可能性があると担当医が診断しました」と同紙に打ち明けている。

実際に、遺伝的な遺伝子の突然変異によって乳がんを発症する確率はごくわずかだが、「BRCA1」に欠損がある人は乳がんを発症する確率が平均で65%だという。アンジーは「この私の身に起きた現実を知ってしまった以上、できるだけリスクを軽減し、予防に努める決断をしました。したがって、予防的な両乳腺切除術を受けることに決めたのです。まず乳房から手をつけたのは、卵巣がん以上に乳がんの発症率が高く、手術自体ももっと複雑なものだからです」と手術に至った経緯を話した。

さらに「4月27日に切除術を含む3カ月の医学治療プロセスを終えました。この間、この事実の公表を抑えて、自分の仕事に集中できました」と続け、手術の成功を報告。医師は乳がんを発症する確率は5%以下まで軽減されたと診断したという。

婚約者のブラッド・ピットとの間に、11歳のマドックス、9歳のパックス、8歳のザハラ、6歳のシャイロ、そして4歳の双子のノックスとビビアンの計6人の子供たちを育てているアンジーは、治療期間中に献身的に支えてくれた夫のブラッドに感謝を示していて、今回手術に踏み切った大きな理由の1つとして、子供たちの存在を挙げている。

「これで、子供たちには乳がんによって母親を亡くす心配がなくなったと伝えることができます。子供たちを心配させるような結果にならずに安心しました。多少の傷跡はありますが、それだけです。子供たちにとっては、それ以外は今までどおりのお母さんなのです。それに、私にはブラッド・ピットという愛と献身に溢れたパートナーがいて幸運です。私と同じような苦難を乗り越えている奥さんやガールフレンドを持つ男性は、この辛い時期を乗り越える上で同じく大切な存在だと思います」

さらにブラッドは、手術中にずっとアンジーに付き添っていたようで、アンジーは「ブラッドは、私が治療を受けたピンク・ロータス・ブレスト・キャンサー病院で手術の間中ずっと付き添ってくれました。2人ともこの決定が私たちの家族にとって賢明なもので、家族の絆をさらに深めてくれるものだと信じています。そして、実際そうだったのです」とエピソードを紹介し、家族の絆がより深まったことを明かした。

アンジーの両側乳房切除の手術は、完了まで9週間かかったと言われている。今年2月から乳首を温存するための治療が開始され、乳房再建のためにさらに数週間が費やされた。「2月2日から『乳首温存』と呼ばれるプロセスが始まりましたが、その治療は乳首の後ろにある乳管部分の病気を取り除いて、その組織へのさらなる血流の流れを引き止めるものなのです。痛みを伴い、かなりの傷が残りますが、乳首を温存する可能性が高まるのです」とアンジーは語る。

そこからインプラントを使った乳房再建の手術が始まり、「その9週間後に、インプラントを使った乳房再建のための最後の手術が完了しました。この手術に関しては近年飛躍的な発展が見られることから、結果的に美しい仕上がりとなりました」と経過を報告。そして、亡き母の10年にわたる闘病生活を見てきたアンジーは、やはり子どもたちを存在が大きく、切除の決定は簡単なものではなかったが、今は幸せだと続けている。

「私の母も10年近くがんの闘病生活を送って、56歳で亡くなりました。初孫が誕生し、腕に抱くことができるまで生き長らえましたが、他の子供たちは私の母を知るチャンスは全くなくなってしまったのです。よく家族で『お母さんのお母さん』などと言っていて、母の命を奪った病気についてなるべく説明するようにしています。でも子供たちは、もし同じ病気が私の身に起こったらどうするのか――と尋ねてくるのです。いつも心配するなと言い聞かせていますが……もちろん切除の決定は簡単なものではありませんでした。でも、今の私はとても幸せです」

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