ルネサス エレクトロニクスは3月26日、車載向けSoC対応デジタルテレビ放送受信用ミドルウェアを拡充とした発表した。

テレビ放送におけるデジタル化は世界各地で急速に進展している。特にブラジルにおいては、日本の地上デジタル放送(ISDB-T)方式を基本とするISDB-TB方式を採用し、2016年にはアナログ放送停波が計画されている。これと、2014年のワールドカップ、2016年のオリンピックという世界規模のイベント開催、および継続する経済拡大が相まって、据え置き型テレビのデジタル化の加速とともに、車載情報機器へのデジタルテレビ機能搭載のニーズが高まっている。また、日本国内では、従来のICカード(B-CASカード)による限定受信方式に加え、ICカードを利用しない"コンテンツ権利保護専用方式"が規格化され、2013年4月から本格運用される予定であり、より一層の利便性向上やシステムコスト低減が期待されている。

今回拡充されたのは、ブラジルにおけるISDB-TB(Integrated Service Digital Broadcasting-Terrestrial Brazil:1セグ)放送受信用ミドルウェア、ならびに日本で新たに標準規格化されたコンテンツ権利保護専用方式に対応したISDB-T(Integrated Service Digital Broadcasting-Terrestrial:フルセグ)放送受信用ミドルウェアで、ISDB-TB(1セグ)放送受信用ミドルウェアは、ブラジルの地上デジタルテレビ放送規格(BRAZILIAN TECHNICAL STANDARDS ASSOCIATIONで策定された、ABNT NBR 15601-15608)に準拠しており、今後経済拡大が見込まれるブラジルへのデジタルテレビ機能搭載製品の提供が可能となる。

国内で実績のある移動体受信機向けISDB-T(1セグ)放送受信用ミドルウェアをベースに開発したことで、移動体特有の弱電界対応や規格外コンテンツ対応を強化しており、誤動作の可能性を軽減できるほか、後席にもディスプレイを設置する場合、受信画像を2画面出力とすることで、前席とは異なる解像度のディスプレイにも対応できるようになる。音声についても、2系統出力にすることで、前席とは別の音量調整が可能になるという。

一方のコンテンツ権利保護専用方式対応ISDB-T(フルセグ)放送受信用ミドルウェアは、ICカード(B-CASカード)を用いない、コンテンツ権利保護専用方式(ARIB Association of Radio Industries and Business標準規格STD-B25第3部)準拠の限定受信方式に対応しており、1つのミドルウェア製品で、従来方式(B-CASカード使用)とコンテンツ権利保護専用方式(B-CASカード不要)の両方式に対応でき、柔軟なシステム開発や商品展開に寄与する。加えて、車での移動時に起こる車体の揺れなどの移動体特有の視聴環境に対応し、弱電界での受信性能を強化することで、車などの移動体の中でも安定した電波環境でカーナビなどのシステムを使用することが可能となる。