米MicrosoftはOffice for Mac 2011の値段を密かに値上げしており、さらに複数台インストールが可能だったパッケージにライセンス制限をつけ、1パッケージ1台までとなった。一方でOffice 365は年契約が99.99ドル、月額が9.99ドルで最大5台までのインストールが可能で、パッケージ製品よりもOffice 365のサブスクリプションへユーザーを誘導する意図があるとみられる。

同件はComputerworldが報じている。現在、Microsoftのページによれば「Office for Mac Home & Business」が219.99ドル、「Office for Mac Home & Student」が139.99ドルとなっているが、改訂前は前者が199.99ドル、後者が119.99ドルであり、最大で約17%の値上げとなっている。また同ページを見てもわかるように「1 Mac」という条件が付与されており、従来バージョンでは1パッケージで2台までのインストールが可能だったものが、ライセンス制限で1台までとなっている。また3台までのインストールが可能だったファミリーパックも消滅しており、台数分のパッケージ購入が必要になった。Mac Observerによれば、まだ米Amazon.comにはライセンス制限がない従来版のパッケージが流通しており、販売チャネルが移行期間にあることがわかる。

一方で、同ページで紹介されている「Office 365 Home Premium (Up to 5 Macs or PCs)」は年契約のサブスクリプションで99.99ドル、月額支払いでは9.99ドルでの利用が可能なうえ、Windows PCとMacを合わせて最大5台までのインストールが可能で、おそらくは今回の価格改定がOffice 365への意図的な誘導を狙ったものであると考えられている。パッケージ版のOffice 2013が1台へのPCのインストールに限定され、ライセンスの移譲や事実上の再インストールが不可能という厳しいライセンス条件にあるなか、サブスクリプションながら年額は比較的安めに抑えられているOffice 365 Home Premiumは同社Office製品の目玉となっており、Mac版OfficeもまたWindows版と同じ誘導戦略が採られているようだ。

なお、これらは米国を含む海外での事情であり、日本ではその限りではない。事実、現在もマイクロソフトの日本法人では価格改定やライセンス条項変更を行っていない。日本では安価なOffice 365 Home Premiumが提供されておらず、PCへのバンドル戦略を強化する方針ということもあり、複数台インストールが可能なライセンス条項もそのまま残っているなど、諸外国の制限に比べて緩い。その代わり単体パッケージがやや高めの設定になっている。