米国本社のコンシューマ事業最高責任者であるプラグネシュ・シャー(Pragnesh Shah)氏

最先端のテクノロジーを活用した語学学習ソリューションを提供している、ロゼッタストーン。今年創業20周年を迎えた同社では、アジア市場に重点を置くため、この秋、米国本社のコンシューマ事業最高責任者であるプラグネシュ・シャー(Pragnesh Shah)氏が活動拠点を日本へ移すことになった。そのシャー氏にお会いして、日本のビジネスパーソンが英語を話せるようになるためには、どんな勉強法が効果的なのかを伺ってみた。

――今、アジア市場を重視される理由とは何でしょうか?

日本と韓国は語学学習・eコマースの市場規模が大きい

弊社では、2007年に日本での事業を開始しました。韓国でも同時期から展開していますが、現在、金額ベースで見ると、全世界の語学市場規模の約1/4を日本と韓国とで占めています。特に日本では、人口はアメリカの1/3しかいないにも関わらず、市場規模は約2倍です。

さらに、eコマースの市場規模を見ると、日本はアメリカ、中国に次いで第三位です。クラウドを使ったソフトウェアのサービスを、Webやeコマースのチャネルを通じて提供している弊社としては、これらの点に注目し、日本を拠点としてアジア市場に重点を置くことにしました。

特にビジネスの場でのニーズが高い

韓国では最近、読み書きだけでなく英語を話すことに、国を挙げて力を入れています。日本では、過去長年にわたって英語教育が行われており、学校教育の中で英語の読み書きをする機会は大変多いと聞いています。また、近年は特に企業のみなさんが、グローバルに闘うための競争力をつける必要性から、英語教育に大変注力されています。弊社としては、そうしたニーズに応えるために、個人の学習者の方だけでなく、法人を対象にしたソリューションも展開していきます。

さらに、私たちは、「世界中の人々の生活を変える」ことをミッションだと考えています。ビジネスチャンスを狙うだけではなく、社会貢献という意味でも、語学学習を必要とする人々のお手伝いをしていきたいと思います。

――日本人の学習者にとって、使いやすい語学学習ツールとはどんなものでしょうか?

短時間トレーニングを長期間続ける

日本人の典型的な英語学習者は20~40代のビジネスパーソンで、大学を卒業し、ハイレベルな英語力を備えています。単語もたくさん知っているし、文法も分かるし、英文を読む力もしっかり持っています。一方で、例えば、路上で道を聞かれるなど、突然英語で話しかけられると、相手の言っていることはだいたい分かるのに、それに対する言葉が出てこなくて、固まってしまうケースが多いようです。

そういった反射的に交わす会話力を身に付けるためには、毎日トレーニングすることが重要です。例えば、ジムで運動をする場合も、1日だけ行って10時間やったとしてもダメで、毎日少しずつ、長い期間続けることによって良い結果を得られますよね。同様に、語学も毎日続けることで、自信がつき、ナチュラルに話せるようになるのです。1日30分でいいので続けること、それがキーとなります。

負担なく毎日続けられる学習システム

ただ、「毎日続ける」ことは難しいです。そこで鍵となるのは、利便性や気軽さのあるソリューションでしょう。毎日忙しく働いている人たちにとって、仕事が終わった後にどこかへ行って勉強するのは、とても大変です。手間や時間をかけずに、利用できる「利便性」は毎日続けるためには必須です。

弊社では、米国での創業以来20年間、多くの投資を重ねながら独自のテクノロジーを開発し、わざわざ学校に行かなくても、自宅や会社のPCから、あるいはモバイルやタブレットを使って公園など外からでも、自分が都合のいい時間に学ぶことを可能にしています。「毎日続けていく」上で、こうしたシステムは、とても便利に使っていただけるのではないでしょうか。

さらに、弊社のテクノロジーでは、学習者の進ちょく状況に合わせてコースを早めたり、逆にゆっくり進めたりするなど、柔軟に適応するようになっています。こうしたことは、学校ではできないことだと自負しています。

――この秋、日本人向けに開発した新製品「ReFLEX(リフレックス)」を発売されたそうですが、これはどんなものですか?

日本人のためにつくられたプログラム

先ほど、日本の英語学習者はすでにたくさんの単語を知っているとお話をしましたが、そうした点を考慮して、「ReFLEX」では、多くの日本人が既に知っている単語や文法をたくさん繰り返すことは省いています。その代わり、日本人の大多数が苦手としている「反射的に話す」ことにフォーカスしています。

例えば、日本人にとってはRとLの区別が難しいと言われています。しかしこれらを、テキストを読んでマスターすることはできませんよね。実際に口に出してみなくては。同じように、日常に起こる様々なシーンで使われる英語を「実際に聞いて、自分が話す」ことを日常的に繰り返します。そうすることで、実際に街で話しかけられた場合でも、自信を持って、自然に英語が出てくるような力をつけることができます。

「ReFLEX」は、年間1,000万~1,500万ドルを研究開発費として音声認識、スピーチ解析、人工知能などの分野に投資している弊社の研究チームが、大量に集めた日本人英語学習者の音声サンプルを研究し開発しました。日本人の英語習得に関する多くの研究と弊社の開発力により、日本人の方がより自信を持って、正確に、反射的に英語を話せるようになるようにできています。

個々の進捗状況に合わせてプログラムがカスタマイズされる また、「ReFLEX」では、学習者が、どの部分は正しく発音できていて、どの部分はできていないのかを自動で判断し、その習得度によって次の内容が変わってくるシステムになっています。つまり、学習者の状況に応じてプログラムが自動でカスタマイズされるのです。これにより、一人ひとりに最適なソリューションをご提供できます。

短時間のアクティビティで楽しく続けられる

「ReFLEX」には1日約30分のコースを用意していますが、大まかに各10分前後の3種類のプログラムから構成されています。まずは、英語特有のLとR、THの区別など、日本人が苦手な発音に特化したリスニングをゲーム形式で練習。その後、CGアニメーションを使ったロールプレイング形式で、実用的な言い回しやフレーズを繰り返しトレーニングします。

そして、最後はアメリカにいるネイティブのコーチが画面上に登場し、マンツーマンでリアルタイムに会話の実践練習を行う流れにしています。こういった流れで、各種のアクティビティに参加することで、反射的な会話力が楽しく身に付けられると思います。

――最後に、英語を勉強しなくては……と思いつつ、実際には行動を起こせずにいる人に、アドバイスをお願いします。

まず、“体験”してみてほしい

「英語を身に付けたい方」で、まだ「英語を身に付ける」ための行動を起こしていない方がいらっしゃったら、なぜ行動を起こさないか考えてみてください。「学校に通うのは面倒」、「時間がない」といった理由が思い浮かんだなら、自宅などどこからでも、24時間いつでも取り組める勉強法もあることをお伝えしたいです。

先ほど紹介した「ReFLEX」なら3か月、6か月、1年の利用期間ごとの提供となっていますから、続けられるかどうか自信のない人は、まず3か月から気軽に始めてみることができます。また、Web上に無料体験版を用意していますので、自由にトライすることもできます。「行動」の第一歩として、こういったものを一度体験してみてください。

新しいことを始めるには勇気が必要ですが、まずは、怖がらずに飛び込んでみることです。

Don’t be afraid!

●お話を聞いた人
プラグネシュー・シャー氏
Rosetta Stoneのグローバルにおけるコンシューマ事業最高責任者として、米国を含む全世界のコンシューマ事業を統括する。オンラインやモバイル通信業界において、eコマース、セールス、マーケティング、プロダクト・イノベーション、オペレーションなどの分野において幅広い経験を持つ。今回の日本滞在を機に、同社の語学トレーニングソフト「TOTALe(トターレ)」を使って、自身も日本語を学習中。