台東区上野の燕湯の壁面に描かれた立山連峰と富山ライトレール「ポートラム」

銭湯の壁画といえば、富士山がおなじみだが、近頃、東京都内では富山県の北アルプス立山連峰の背景画が増えつつある。

というのも、2014年度末の北陸新幹線開業を控え、2010年度から富山市物産振興会が富山ブランドを広く知ってもらおうと展開している「ホットして富山市PR事業」の一環で、都内の銭湯の協力のもと、湯船の背景のペンキ絵に立山連峰など壮大な自然を描いてきたからだ。

2010年度には「大黒湯」(杉並区)、「八幡湯」(渋谷区)、「吉野湯」(江戸川区)、「仙石湯」(荒川区)、「第二香藤湯」(墨田区)の5軒、2011年度に「千代田湯」(豊島区)、「富山湯」(江東区)、「北町浴場」(練馬区)、「ニコニコ湯」(足立区)、「東京浴場」(品川区)の5軒でに実施。立山連峰や路面電車「富山ライトレール」などが描かれていた。

昭和25年に建てられた燕湯。有形文化財に登録されるほど

「ホットして富山市PR事業」第3弾目となる今年、新たに立山連峰が描かれた銭湯は、「世界湯」(中央区日本橋)、「菊水湯」(文京区本郷)、「燕湯」(台東区上野)、「第二日の出湯」(大田区西蒲田)、「松の湯」(墨田区東向島)の5軒。これらの銭湯、いずれも店主自身や親戚が富山市などの北陸出身だ。

ちなみに、都内の銭湯の半分くらいが新潟県出身で、残りが石川県、富山県。この北陸3県出身が9割以上の銭湯を経営。富山市物産振興会がこの銭湯の壁画に着目したのもこの点だった。

そこで、銭湯でPRするなら壁画。そして。北陸出身者なら富士山より立山の方がなじみ深いということで、始まったのがこの「ホットして富山市PR事業」というわけだ

絵を描いたのは、今や日本に2人しかいないという銭湯背景画絵師の中島盛夫さんと丸山清人さんで、富山市物産振興会が依頼したもの。脱衣所との仕切り上の壁面に描かれている「菊水湯」以外の銭湯では湯船の背景一杯に雄大な立山連山が広がっている。

なお、富山市物産振興会では、「ホットして富山市PR事業」として、浴場内に富山市をイメージできるポスターの掲出や物産品の展示・販売なども行っている。立山連峰が育んだ「富山の水の幸」として、「アクティブサプライ」「雪アルプス天然水」「トンボラムネ」「ラボンサイダー」「おわら桑摘み茶」「和漢の恵み茶」といったドリンクが各銭湯では100円で提供されている。