メディアに多数出演しているアイドルを見て、「正直、見飽きた」と思った経験はありませんか。心理学的には、接触頻度が増えれば増えるほど相手への愛情が増すといった実験データ(詳細は関連リンク『アイドルにハマる理由を心理学的に分析』参照)もあるのに、毎日のように同じアイドルを見ていると、だんだん飽きてしまうのは気のせいでしょうか? 

 「人はずっと同じものを見ていると飽きてしまう性質があるんです。そのメカニズムを心理学では『すり切れ効果』と呼びます」(内藤先生)

 そう語るのは、心理学者の内藤誼人(ないとうよしひと)先生。やっぱり人は飽きっぽい生き物だということが、ある心理学者の実験で証明されていると言います。

 ●メディアに露出しすぎはご用心●

 「ウィスコンシン大学のジャクリーン・ヒッチョンは、58名の大学生に同じテレビCMを2回~12回まで見せるという実験を行いました。4回位まではCMに対して好意が高まっていきますが、最終的には飽きてしまうというデータがでたのです。つまり、露出しすぎてしまうと、視聴者は飽きてしまう傾向があると言えます」(内藤先生)

 メディアに出過ぎてしまうと、やっぱり飽きられてしまうのも早いんですね。内藤先生によれば、長くアイドルとして活躍したいならば「ある程度、露出を絞ることも必要」だと話します。ただ認知されなければ、人気は出ませんからそのさじ加減は難しいところです。

 ●アイドル戦国時代を勝ち抜くジャニーズとAKBの共通点●

 また、最近のアイドルの賞味期限が短く見えるのには、こんな理由も考えられると内藤先生は言います。

 「昔に比べてライバルの数が多くなったので、ファンが目移りしやすくなったのではないでしょうか。その結果、アイドルの人気が短くなったように見えるのだと思います。人はもともと、浮気しやすい生き物。心理学的な調査では男女共に約2割の人が浮気をすると言われています。ですから、たとえ今はあるアイドルが好きだとしても、もっとカワイイアイドルが登場すれば目移りするのはごく自然なことでしょう」(内藤先生)

 昔のように新御三家、花の中三トリオ(古い!)といった、トップアイドルが存在しないのは、アイドルが多様化しているからなんですね。昔に比べメディアの数も多くなり、インターネットで地方アイドル、ネットアイドル、海外アイドルをチェックできるのも、その大きな理由として挙げられるでしょう。

 そんな激しい競争が繰り広げられている平成のアイドル戦国時代を勝ち抜いているのが、嵐やSMAPなどが所属するジャニーズ事務所とAKB48ではないでしょうか。内藤先生は、「どちらも所属するメンバーの数が多いのでグループ内で目移りさせて、他に目移りさせないといった戦略が功を奏しているのでは」と分析します。長く愛されるアイドルになるにはソロ活動ではなく、グループ活動を選んだ方が賢明なのかもしれません。

文●ペンダコ

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