厚生労働省は5月31日、生活保護法第29条に基づく調査の金融機関本店などへの一括照会について、全国銀行協会に要請し、2012年12月(予定)から実施することになったと発表した。

これにより、これまで各福祉事務所が複数の支店に別々に照会をしていたが、そうしたことが必要なくなる。また、より多くの支店の状況も把握できるようになることから、資産調査が効率的、効果的に実施できるようになるとしている。

生活保護法第29条は、以下の通り。

(調査の嘱託及び報告の請求)
保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定又は実施のために必要があるときは、要保護者又はその扶養義務者の資産及び収入の状況につき、官公署に調査を嘱託し、又は銀行、信託会社、要保護者若しくはその扶養義務者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる

生活保護法第29条に基づく調査の金融機関本店などへの一括照会について、基本的な実施要領案については、以下の通りとなっている。

(1)本店等一括照会に対応する銀行の範囲

  • 店舗を有する都市銀行、地方銀行、第二地方銀行協会加盟銀行、信託銀行など(信用金庫、信用組合については、別途、実施スキーム案を調整)

(2)本店など一括照会の依頼先

  • 銀行が指定する本店・本部・センターなど

(3)本店など一括照会の対象者

  • 生活保護の申請を行った人(世帯)

  • 不正受給が疑われる人(世帯)

(4)照会内容(※)

  • 口座の有無

  • 口座が「有」の場合の取引店及び調査時点の残高

(※ 不正受給の疑いがある場合など、真にやむ得ない理由により上記(4)以外の状況が必要な場合は別途協力を得る)

(5)照会方法など

  • 福祉事務所は氏名(漢字・カナ)、性別、生年月日、住所を記入した書面(統一様 式)に本人から徴取した同意書を添付し、上記(2)の依頼先に照会する

  • 銀行は福祉事務所から照会が行われた場合、当該銀行の国内全店舗(事務・システ ム上の事情から調査困難な店舗がある場合には、当該店舗を除く)における上記(4)の内容を調査し回答する

(6)実施時期

銀行の準備状況を踏まえ2012年12月から実施(予定)

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