米Microsoftは12月14日(現地時間)、同社IMサービスの「Messenger」をXMPPを介して一般開放すると発表した。XMPPはIMシステムにおける標準規格で、Google Talkが採用しているほか、最近ではFacebookが自身のチャットサービスをXMPPを通じて開放している。Microsoftの動きは、ちょうどFacebookの形にならったことになる。また、AppleがiChatやiOSで搭載しているIMクライアントはXMPPのインターフェイスを持っており、近い将来でのMessengerサポートが期待される。

XMPP (Extensible Messaging and Presence Protocol)とは、IM (インスタント・メッセージング)におけるメッセージやプレゼンス情報を交換するための標準インターフェイスを定義したもの。XMPPはもともと「Jabber」の名称でリリースされていたIM製品のプロトコルとして開発されていたもので、その仕様を定義したものがRFCとしてまとめられている。なお、この仕様に準拠したサーバ製品を開発していたJabberは米Cisco Systemsに買収され、その一部門となっている。

オープンインタフェースとしてのXMPPが商用製品で初めて本格的に利用されたのが2005年のGoogle Talkで、その後前述のようにFacebookが自社のIMネットワーク開放でXMPPのインターフェイスを用意する例が出てくるなど、プロプライエタリなシステムを公開する際の手法として注目を集めるようになった。

今回のMicrosoftによるMessengerのXMPP対応におけるメリットは、XMPPに対応したIMクライアントであれば、そのままMessengerのユーザーと相互接続できる点にある。従来でも複数のIMサービスをサポートしたクライアントはあったが、あくまで各々のサービスのユーザーであることが前提であり、そのうえでそれぞれのサービス上に点在している友人のステータス確認やメッセージ交換を行えるというものだった。MessengerのXMPP対応により、たとえ自身が当該サービスのアカウントを持っていなかったとしても、3億以上のアクティブユーザーがいるMessenger上の友人との相互接続が可能になるわけだ。

今回の措置によって恩恵を受けるとみられるのがMacやiOSデバイスのユーザーだ。Mac OS Xに搭載されているiChatはXMPPに対応しており、将来的なバージョンアップで専用クライアントのインストールなしにそのままMessengerへと接続が可能になるとみられる。Apple Insiderでも指摘されているが、iChatは最初のリリース時にAOLのAIMをサポートしており、後にYahoo! IMもサポートしている。またこの間にXMPPサポートが加えられたことで、Jabber系のネットワークと相互接続できるようになり、結果として前述のGoogle TalkやFacebookもサポートしている。この流れから、次にサポートされるのは最後の大手IMネットワークであるMessengerだろうと予測できる。また、iOSに新たに搭載されたiMessageはXMPPをベースにしており、理論上はMessengerサポートも可能だとみられる。