花王は9日、同社ビューティケア研究センターが、東京農工大学工学研究院生物システム応用科学府の岩井俊昭教授とともに、可視光を使い、非破壊で肌表面の凹凸形状と表面および内部からの光の反射をイメージング(映像化)する装置(RGB-Optical Coherence Tomography:以後RGB-OCT)を開発したと発表した。

さらにこの方法を化粧肌の光学特性解析に応用し、化粧肌が素肌のような自然な仕上がりに見える研究を行った。

花王によると、これまで、化粧のりの状態を調べる方法として、肌の表面のファンデーションの分布を表面から定性的に観察するのが一般的で、「ファンデーションの厚みが肌のどのような部分でどの程度ついているかなど、付着状態を肌の断面方向から正確に観察する方法はなかった」。

また、ファンデーションを開発する上では、化粧肌の仕上がりを決める要素の一つである肌の深さ方向での光の情報が重要だが、「従来技術では、光を青・緑・赤色に分けて、肌内部にどの程度透過しているかなどを調べることが困難だった」(花王)。

同社では、今回の解析技術により、「肌表面のキメや毛穴などの凹凸形状に対し、ファンデーション粉体がどのような厚さで付着しているかを測定できるようになり、化粧のりとファンデーション粉体の付着状態の関係が明らかになった(資料1の左の図)」としている。

また、50代以上の化粧した肌を色ムラが少なく自然な仕上がりに見せるべく、肌に入る青から緑の光を抑制し、赤い光を効果的に透過させる光学特性をもった粉体の開発を行った。

この粉体を含むファンデーションを塗布し、同装置により肌内部への青・緑・赤色の光の反射を測定した結果、開発した粉体は、肌内部に赤い光をより多く透過させる効果があり、「化粧肌が素肌のような自然な仕上がりに見えることが検証できた(資料1の右の図)」という。

今回の成果は、新しいベースメイク技術の開発に応用している。また、研究成果は、Optics & Photonics Japan 2011:日本光学会(2011年11月28日~30日、大阪大学吹田キャンパス)で発表した。