NVIDIAは11月8日(米国時間)、PCレベルのパフォーマンス、バッテリの長寿命化、モバイル体験の向上をタブレットや携帯電話で実現することが可能となるクアッドコアプロセッサ「NVIDIA Tegra 3」の提供を開始したことを発表した。

同製品は、これまで「Project Kal-El」(開発コードネーム)と呼ばれていたもので、グラフィックス性能を前世代のTegra 2比で最大3倍に向上しつつ、消費電力は最大61%抑えることが可能。

同社が現在特許申請を行っているバリアブル対称型マルチプロセッシング(vSMP)技術が導入されており、低消費電力が要求される作業向けに特別設計された第5のコンパニオンCPUコアが採用されている。一方、4つのメインコア(Cortex-A9)は、高パフォーマンスが要求される作業向けに設計されたものとなっているが、デュアルコア・プロセッサと比べて一般的な使用における消費電力を抑えることが可能で、音楽やビデオを再生したり、バックグラウンド・データをアップデートしたりと、低消費電力が要求されるタスクを実行している最中、このパフォーマンス重視の4つのコアは完全にシャットダウンされ、代わりにコンパニオン・コアを使用することで電力消費を抑制することができる。また、Webブラウジング、マルチタスキング、ゲームなど、高パフォーマンスのタスクの場合は、コンパニオン・コアが無効となる。

また、このクアッドコアCPUとともに12コアのNVIDIA GeForce GPUが搭載されており、これによりダイナミック・ライティング、物理効果、高解像度環境によるゲームの迫真性を高めると同時に、3Dステレオの実現による次世代モバイル・ゲームを実現することができるようになると同社では説明している。

さらに、前世代比で最大2倍の高速化を実現したイメージ・シグナル・プロセッサを搭載し、これらの各プロセッサなどにおいて最大3倍のメモリ帯域幅を実現している。

なお、同プロセッサを搭載したタブレット製品としてすでにASUSの「Eee Pad Transformer Prime」の提供が予定されているほか、2011年末までには、40タイトルのゲームが発売が予定されており、Tegraプロセッサに最適化された最高のゲームを紹介する、NVIDIAの無償のAndroidアプリケーション「Tegra Zone」向けに、15を超えるTegra 3対応ゲームが開発中となっている。

Cortex-A9を4コア搭載した「Tegra 3」