Steve Jobs氏が米Apple CEO退任を発表してから2週間。同社の今後について、わずか2週間と思えないほどに数々の意見が交わされてきた。インターネットにおけるユーザーの心証をまとめたConsumerAffairs.comの調査によれば、Jobs氏退任後でもユーザーの心証はネガティブなものが全体の20%程度にしか過ぎず、ポジティブな意見が50%ほどを占めていたという。AppleにおけるJobs氏の存在は大きいものの、一方で同氏が残したものがAppleを今後も良い方向に導くと考えているようだ。

8月に米AppleのCEOを退任したJobs氏

ConsumerAffairs.comはユーザーの意見や批判、リコール関連の情報などを集計してまとめ、ニュースや読み物の体裁で公開していくWebメディアだ。同誌が9月5日(米国時間)に公開した「Consumers Rally Around Apple in Wake of Jobs' Retirement」という記事によれば、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアや各種掲示板におけるユーザーの意見を機械集計したところ、8月におけるデータでは、Appleに関するポジティブな意見が約17万件とApple関連のコメント全体の約50%に達し、6万4千件あったネガティブな意見を上回ったという。その典型的な意見としては、「Appleは彼(Jobs氏)のリーダーシップによりうまくやっていくだろう」「Appleは彼のおかげで驚くほど強固だ」といった形で、Jobs氏なしでも今後もうまく立ち回っていくと答えていたという。また8月に最も多かったコメントが「Appleと最後まで心中する(Apple all the way)」で、何百件もこうしたコメントがみられたという。

ConsumerAffairs.comは過去1年にわたって同種の集計を続けているが、Appleに対するこうしたポジティブな意見とネガティブな意見の割合はおおよそ変化することなく、8月はJobs氏退任を受けてコメント数が大幅に増えたといった変化が見られた程度だ。Appleファンの多くはJobs氏の去就そのものよりも、その同氏の生み出したAppleというブランドに興味があるようだ。

またネガティブな意見としては、価格や技術面に関する点に触れていることが多いという。「Appleは私を惑わせた」「AppleはiOS 4.3でWeb開発者を騙した」といったように、Appleに振り回された周囲の人々からのネガティブなコメントが多かったようだ。またハッキングコンテストで露呈したMacの脆弱性など、Appleそのものの失態というよりは外部のイベントを通じてAppleにネガティブな見解を持ったというケースが多かったという。