台湾Digitimesの8月16日(現地時間)の報道によれば、米Appleが2011年後半でのリリースを予定していたと噂される「iPad 3」のリリース計画がキャンセルになった可能性があるという。これは高精細液晶パネルの供給遅延からくるもので、需要を満たすだけの十分な数が確保できないことからの判断とみられる。

iPad 2

Digitimesはサプライチェーン側の話として、iPad 3はもともと2011年第3四半期に150~200万台、第4四半期に500~600万台の出荷を見込んでいたというが、この計画がつい最近になりすべてキャンセルされたと伝えている。それによれば、iPad 3で使われる予定だった2,048×1,536ドットの解像度を持つ9.7インチディスプレイの歩留まりが非常に悪く、これが供給の遅れにつながったようだ。例えばシャープの提供するパネルは価格帯が高めで、対抗となるSamsung ElectronicsやLG Displayの歩留まりは十分なレベルに達していないといった具合だ。そのため前述の計画を実現するだけのパネル量をAppleが確保できておらず、キャンセルにつながったということだ。

このほか、高解像度の9.7インチパネルではより強力な光源が必要とされており、パネルの一端から照射するだけのエッジライトでは不十分との指摘がある。一方でiPad 3では薄さと剛性、色表現の高さを要件としており、これらすべてを実現するにあたってのハードルの高さもまた遅延の原因の1つとなっているようだ。

いずれにせよ、Digitimesの話を総合すればAppleが自ら引き上げたハードルでの遅延であり、その理由は品質の高い製品を目指すという点に帰結する。ユーザー側としては、スケジュール優先で中途半端な製品をリリースされるよりも、多少の遅れでも驚きを体験できる、そんな何かをAppleに期待したいところだ。