Appleが申請中の2つの新特許が話題になっている。米特許商標局(US Patent and Trademark Office)が6月23日(現地時間)に公開した同社の申請案によれば、1つめは「撮影した写真の傾きを本体センサーを使って自動補正する機能」で、もう1つは「画面が見られない環境で音を使った音楽デバイスの操作を可能にする機能」だ。

1つめの特許の名称は「IMAGE CAPTURE DEVICE HAVING TILT AND/OR PERSPECTIVE CORRECTION」で、申請番号は「20110149094」、もともとの申請日は2009年12月22日。申請中の特許はUSPTOのページで確認できる。

この件についてはCNETが報じているほか、詳細についてはPatently Appleの記事で確認できる。一度でもカメラを使って撮影したことのある人ならおわかりだろうが、撮影した画像がわずかに傾いていて気になったという経験は必ずある。格子線をファインダーや液晶画面に出すことが可能なカメラもあるが、けっきょくは人間が行うことであるため、わずかに傾きが生じることは避けられない。だがiPhoneなどの場合、本体内蔵のジャイロスコープなどの各種センサーを組み合わせることでその傾きが検出できるので、そのデータを活用して撮影対象を撮影後に自動補正しようというものだ。レタッチソフトでデジタル写真の傾きを調整した経験のある人もいるかもしれないが、それを撮影時に機械が自動的に行ってくれるわけだ。

もう1つの特許については「DIRECTIONAL AUDIO INTERFACE FOR PORTABLE MEDIA DEVICE」の名称がついており、申請番号は「20110153044」、申請日については前出の写真補正特許と同じ2009年12月22日となっている。申請中の特許はこちらもUSPTOのページで確認できる。

こちらの特許についてはApple Insiderが報じているほか、その内容についてはPatently Appleが詳しい

例えば携帯音楽プレイヤーを利用中、デバイスを直接操作できないような状況は車の運転中や満員電車の中など、さまざまな場面に存在する。ハンドリモコンを使ったり、Appleの製品であればVoice Overによる音声操作が行えたりするが、画面が見えないために「再生」「停止」「曲送り」といったおおざっぱな操作しかできず、実際に曲の頭がスタートするまで再生されるのがどの曲なのか不明なことも多い。新特許はこの操作を拡張するもので、画面が見えないときの補助UIとなるものだ。

この特許によれば、「Spatial (空間)」というその名称どおり、空間内をセンサーデバイスを移動させることでメニューを実際に見ているかのように認識し、選択することが可能となる。例えばステレオヘッドホンを使っている状況で、体を右方向に向ける、あるいは右方向へと移動すると、その方角から次の曲の音が聞こえるようになってくる。逆に左方向へと向けると、こんどは1つ前の曲が左側から聞こえるといった具合だ。これは曲送りや曲戻しを行う状況の例だが、ほかにも複数の曲やジャンルを空間に並べた状態でデバイス(体)をその向きに移動させて特定の曲やジャンルを選択したり、曲やジャンルを実際に音楽を流して伝えるだけでなくText-to-Speechを使ったテキストの読み上げでユーザーに伝えたりすることも可能だ。選曲については、単純にiPod touchのようなプレイヤー本体を左右に傾けるだけでもいい。曲を楽しむことだけに集中できるUIの一種だと思えばいいだろう。