iPad向け電子書籍販売サービス「iBookstore」

先ほど、著作権切れ書籍をボランティアで電子書籍化している「Project Gutenberg」を通し、電子書籍販売サービス「iBookstore」で無料書籍30,000点を利用できるようになるという話を紹介した。これに続き今度は、自費出版サイトの米SmashwordsがAppleと提携し、ここで刊行される出版物をiBookstoreを通して購入可能にすると、米VentureBeatが伝えている。4月3日のiPad発売と同ストアのオープンを前に、出版やメディア関連の話題で一気に賑わいつつある。

これは、Smashwords CEOのMark Coker氏による登録著者らへのメールで判明したもの。Smashwordsサイト上で当該のアナウンスは現時点で行われていないが、4月3日のiBookstoreオープンまでに手持ちの書籍を公開したい著者は、SmashwordsのPremium Catalog内に3月31日までに登録を済ませるよう通達が行われている。

登録フォーマットはEPUB形式で、iBookstoreでの配信コストは無料。もし実際に購入で金銭授受が発生した場合、成功報酬としてSmashwordsとAppleが売上の4割を徴収する。なお、iBookstoreの公開に際してはISBN(International Standard Book Number)コードがSmashwordsによって自動的に付与される。これはApple側が要求していたという。また同社からは、価格の末尾が「99セント」になることと、紙の出版物に対して必ず電子書籍の価格が下回るような設定を行うことが要求されている。これはつまり、iBookstoreでの販売においては最低価格が必ず99セント(1ドル)に設定され、以後は1ドルずつ価格が上昇するスタイルとなる。

Smashwordsは現在のところ、Barnes & Noble、Kobo、Stanzaといった9種類の配信フォーマットならびにプラットフォームに対してコンテンツ提供を行っている。特にKoboはBlackBerryからPalm、Androidまで、各種のモバイル製品をカバーしている。また今回のiBookstore配信に加え、SmashwordsではSony Reader向けの配信準備も行っているという。

iBookstoreとiPadについては、これまで大手出版社の動向ばかりが注目されていたが、中小出版社や個人出版、フリーの出版プラットフォームまで、幅広い媒体をカバーしつつある様子が見られるようになった。