リアルサウンドラボジャパンは、ラトビアに本社を置くリアルサウンドラボの日本法人。同社が開発した音響パワー・イコライザ技術「CONEQ」は、先日ケンウッドより発表されたコンポーネントシステム「K-521」に採用されているものだ。InterBEEの同社ブースにて、CONEQ技術について伺ってみた。

「CONEQ」技術のデモを行うリアルサウンドラボのブース

「CONEQは、原音をスピーカーから出すためのスピーカー補正技術です。128バンドから、プロ向きのものでは、4096バンドものイコライザーによって、音に補正をかけて、スピーカーの周波数特性をフラットなものにしています。スピーカーの補正を行う場合、通常は、マイクを正面に1本置いて測定を行い、その値をもとに補正を行います。

ところが、実際に音を聞く位置と、補正を行った位置とを厳密に合わせることは難しく、少し動いただけでも、音に変化が現れます。それに対して、CONEQは、スピーカーの前面に半球径に設置した、400点という多くのポイントで測定を行い、それをもとに補正を行っています。そのため、聞く位置が変わっても、音は変化しません。スピーカーの補正は、メーカーで出荷する前に行われています。ユーザーは、自宅でマイクによる測定などを行う必要はありません」。

K-521では、CONEQをオン/オフするスイッチはついていなかったが、「CONEQは、例えば、3Dサラウンドのように、それが好きな人はオンにして、嫌いな人はオフにするというようなものではありません。あくまでもスピーカーの質をよくするためのものなので、オフにする必要はないというのが我々の考えです」とのこと。採用するメーカーによっては、オフにしたときとオンにしたときの差がわかった方が、ユーザーにアピールできると考えるケースもあるかもしれないが、ケンウッドではなくてもよいという判断だったようだ。

小型スピーカーの周波数特性をフラットなものにすることが可能

こちらはプロ向けの音響パワー・イコライザ「APEQ-2pro」。価格は20万円程度らしい

現在、CONEQ採用の国内向けに発表されているコンシューマ向け機器は、K-521だけだが、「日立製作所さんが、アメリカ市場向けのテレビにCONEQを採用しています。また、弊社の音響パワー・イコライザを利用すれば、現在使用しているオーディオシステムにCONEQを導入することも可能です。

ただ、プロ用のオーディオ機材のようにしっかり作られているものでは、もともと比較的フラットな特性を持っているので、CONEQを採用した場合でも、それほど大きな変化は感じられないかもしれません。それに対して、例えば、デジタルオーディオプレーヤー向けのドッキングスピーカーや、テレビのスピーカー部分などといったように、サイズなどに制限があったりする場合、もとの周波数特性はかなり乱れていますので、補正の効果は非常に大きなものになります」。

コンパクトなスピーカーでも、高音質化が可能というCONEQは、iPod向けのスピーカーシステムなどといった製品の、新しい方向を切り開くものとなるかもしれない。