米Appleは10月23日(現地時間)、ZFSプロジェクトの停止を発表した。ZFSは米Sun Microsystemsが開発した高可用性のある分散ファイルシステムで、Solaris環境における目玉とも呼べる技術の1つだ。両社は2年以上前にZFSのMac OS Xへのポーティングを表明していたものの、現バージョンのSnow Leopardにおいても機能は標準搭載されておらず、Appleもその後の経過についてコメントしてこなかった。Appleのオープンソースプロジェクトサイト「Mac OS Forge」のZFSのページには現在、プロジェクト停止と該当リソース削除の告知が記されるのみだ。

AppleがMac OS XにZFSを採用する旨が明らかになったのは、2007年6月に米Sun Microsystems CEOのJonathan Schwartz氏がブレードサーバの新製品を発表した際のコメントに端を発する。128bitの高いスケーラビリティや高可用性をセールスポイントとするZFSは成果の一部がオープンソースとして公開されたこともあり、SolarisやOpenSolarisだけでなく、Linux、そして最近ではFreeBSDなどへのポーティングも行われている。Mac OS Xにおいても移植版のソースコードやバイナリの開発者向け提供がLeopard以降の世代で行われていた

だが一方で、Apple自身は製品版への具体的なZFS搭載計画については明言しておらず、以前として旧来のHFS+を利用し続けていた。発表当初はオプションの1つという扱いで、Mac OS Xに搭載しても選択可能なファイルシステムにZFSが出現する形態をとるとみられていたが、現在のSnow LeopardにおいてもZFSを搭載した形跡はみられない。Mac OS XにおけるZFSプロジェクトはこれで完全に終了した形となるが、同件を報じた英Channel Registerはその理由の1つがOracleのSun買収によるZFSプロジェクトの不透明性にあると推測している。ZFS以外のSunのOSSプロジェクトであるMySQLも、同様の理由で関係を見直しつつあるベンダーがあることから、買収におけるオープンソースコミュニティへの影響が徐々に拡大しつつあるようだ。