タミヤのオフィシャルショップ「タミヤプラモデルファクトリー新橋店」が17日にオープンする。タミヤが現在取り扱うすべての商品を展示・販売するほか、イベント専用フロアも用意し、工作教室などの催しを開催していく予定。

17日にオープンするタミヤプラモデルファクトリー新橋店

スケールモデル中心の店舗1階

店舗は3フロア構成で、1階と地下1階が売り場となっている。1階は車・バイクやミリタリー分野のスケールモデル、ツールや塗料類、「楽しい工作シリーズ」などの工作用素材に加え、ステッカーやTシャツといったオリジナルグッズ、書籍などを揃える。地下1階はRCカーとミニ四駆のフロアとなっており、組み立てキットのほか細かなパーツ類が大量に陳列されている。品揃えは「現在発売中のタミヤ全商品」で、その数は約4,000点にも上る。タミヤの全商品を店頭に取り揃えるショップは同店が初という。2階はイベントフロアとし、RCカーやミニ四駆の競技会、模型講座、トークショーなどのイベントを順次開催するほか、模型クラブ等へのレンタルも検討している。イベント時以外にはミニ四駆のコースを設置し、同店での商品購入客に開放する予定。

売れ筋に集中する玩具店の模型コーナーなどと異なり、「全商品」を揃えるだけあり相当の少量多品種展開

オープン限定商品のひとつ、「50周年記念 ドイツパンサーG型後期型 RC完成品」。オリジナル小冊子付き

地下にはRCカー、ミニ四駆、ダンガンレーサーなどが揃えられている

外周の壁にはキット、中央の棚にはパーツが陳列されている。RC用パーツはこの幅の棚が6面もある

今年3月、横浜市北区の複合商業施設・トレッサ横浜にオープンした1号店に続き、新橋店は2店目のオフィシャルショップとなるが、トレッサ横浜店がカジュアルユーザーを含めた幅広い客層を対象にしているのに対し、新橋店はかつてプラモデル作りを楽しんでいたがそこから離れてしまった"お父さん世代"をメインターゲットとする。土曜・祝日には、お父さんが子供を連れて職場の地域を案内しつつ、同店を訪れて模型選びを楽しむといったシーンを想定している。

小さいころあこがれだったタミヤブランドの工具も、大人になった今なら好きなだけ揃えられる!?

工作用素材は子供の自由研究用などとしても利用できそう

新橋店はタミヤの全面プロデュースの下、7月に設立された運営会社のタミヤプラモデルファクトリーが店舗オペレーションを担当。同社の社長には模型卸売業者・坂本商店の坂本俊一氏が就任している。坂本氏は20年ほど前から5年間、家業の修行としてタミヤに勤務していたことがあったといい、新橋店の開店にあたって、ユーザーやタミヤに対して「身を賭してご恩返しさせていただく決意」であるとあいさつした。

中央がタミヤプラモデルファクトリー社長の坂本俊一氏。タミヤとの取引は先代のときからで「"タミヤファミリー"の一員としてお世話になっている」(坂本氏)とこの日も恐縮しきりの様子。右はプラモデルメーカーとしてのタミヤの立役者であるタミヤ会長・田宮俊作氏、左は今年6月1日に31年ぶりのタミヤ新社長となった田宮昌行氏

ここでしか手に入らないオープン記念商品として、一部関係者のみへの贈呈用として制作された特別仕様のパンサータンク「50周年記念 ドイツパンサーG型後期型 RC完成品」(29,400円)、米国法人の研究開発による初の製品となる1/8組み立てエンジンRCカー「TRF 801XT」(100,800円)などを数量限定で販売する。営業時間は平日が正午から午後10時、土曜・祝日が午前10時から午後8時までで、日曜定休。

米西海岸・アーバインのTamiya Americaで開発されたエンジンカー「TRF 801XT」。現時点で日本での販売予定はなく、中身も英語となっている

「正統派オタク文化」を秋葉原ではなく新橋に

出店の背景を説明する田宮昌行社長。「家にまっすぐ帰りたくないサラリーマンの方々も、仕事が終わって10時までここで楽しんで、それから一杯飲んでも終電には間に合います」「タミヤの東京オフィスも新橋に移った。スタッフにいい焼鳥屋を教えてください」とジョークも交えて報道陣を沸かせる

報道関係者向けの事前内覧会の中で、タミヤ代表取締役社長の田宮昌行氏が新橋店のねらいについて触れた。田宮氏はプラモデルを「正統派オタク文化」と認識しているが、オタクの街として知られて久しい秋葉原でなく、あえて新橋を選んだという。「いま秋葉原でファシリティ(施設)を設けたとしても、目立つところにはならない。新橋は、かつてタミヤの製品を深く愛していた方がいっぱいいる街。5年前にも首都圏に進出する計画(当時は実現せず)があり物件を探していたが、そのときから新橋と決めていた」(田宮氏)と説明し、この地が最良のロケーションであると強調した。

また、相次いで2店舗のオフィシャルショップをオープンすることについては「模型作りは最初のハードルがちょっと高い楽しみだが、そのハードルを越えさせてくれていた"まちの模型さん"が減る中、メーカーがそういった場所を提供していかなければならない環境になった」と話す。「タミヤはあくまでメーカーであり、小売業をしたいわけではない。ここでは情報発信をしたい」とも述べ、カタログ代わりの目的で新橋店を訪れ、普段は地域の模型店で購入するという利用法でもかまわないとしていた。

また、今年は1958年に国産プラモデルが登場してから50周年にあたり(タミヤの初プラモデルは1960年発売)、その意味でもオフィシャルショップの立ち上げは「記念すべき事業」(田宮氏)。オープンから22日までは、木製モデルからプラスモデルへの転換を経て現在に至るまでの名作を展示する「田宮模型の歴史展」をイベントフロアで開催し、同社の足跡を振り返る。