WebブラウザFirefoxの次期バージョンに、新JavaScriptエンジン「TraceMonkey」が採用される。Mozilla Foundation CTOを務めるBrendan Eich氏のブログ「Brendan Eich's Roadmap Updates」で米国時間の23日、明らかにされたもの。

TraceMonkeyは、現行のSpiderMonkeyに代わるFirefox用JavaScriptエンジン。SpiderMonkeyをベースにジャストインタイム (JIT) コンパイラを追加、JavaScriptの処理を飛躍的に向上させていることが特徴。Adobeから寄贈を受けたソースコードをもとに開発が進められていたJavaScriptエンジン「Tamarin Tracing」、およびJITエンジン「Nanojit」の強化版であり、現在コード名「Shiretoko」としてα版が公開中のFirefox次期バージョンv3.1で採用される予定。

ブログでは、SpiderMonkeyとのパフォーマンス差についても言及。TraceMonkey搭載のFirefox 3.1と、現行のFirefox 3.0 / SpiderMonkeyを各種JavaScriptベンチマークで比較したところ、「SunSpider」を使用したテスト全体では約1.83倍、そのうち画像処理 (image) は約6.46倍、行列処理 (matrix) は約6.26倍、ubenchテストでは約22.5倍もの速度向上が確認されたという。

Mozilla副社長を務めるMike Schroepfer氏のブログ「Schrep's Blog」では、「WHAT CAN YOU DO WHEN YOUR BROWSER IS 7 TIMES FASTER?」と題し、JITコンパイラをオン/オフしたときの様子を動画として公開中。JavaScriptによる静止画のトレーシング処理を記録したその動画では、JIT有効時が無効時に比べ約7倍高速という結果になっている。

速度差は一目瞭然、Firefoxの新JavaScriptエンジン「TraceMonkey」 (画像は「Brendan Eich's Roadmap Updates」から転載)