サントリー美術館では11月3日より、「鳥獣戯画がやってきた! ―国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌」を開催する。期間は12月16日まで。

「鳥獣人物戯画絵巻(以下、鳥獣戯画)」は京都・栂尾の高山寺に所蔵される絵巻物で、甲巻・乙巻・丙巻・丁巻の4巻から成り立つ。遊び、飛び跳ねまわる動物たちの愉快な表情を自由闊達な筆線で描き出しており、日本絵画史の一大傑作として高く評価されているほか、世界から注目される日本のマンガ・アニメ文化、キャラクター文化の源流として、現代でも幅広い関心を集めているという。

国宝《鳥獣人物戯画絵巻 甲巻》(部分) 平安時代(12世紀) 高山寺蔵[無断転載禁止]

同展では「鳥獣戯画」4巻を中心に、分蔵される断簡、模本類もあわせて展示。画風が巻ごとに異なったり、制作年代にある程度の幅が想定されたりなど、未だ多くの謎が残っていることでも知られる「鳥獣戯画」の全貌を紹介する。なかでも注目すべきは、「鳥獣戯画」の甲巻。愛らしい動物たちがまるで人間のように、豊かな表情と躍動感あふれる画風で描かれることで、当時の世相への風刺をユーモアたっぷりに描いたとしている。また、表現方法として、色を使わず墨の描線のみによって描かれる「白描」という手法がとられ、線のみで動物たちの生き生きとした様子が描き出されている点も見どころの1つだ。なお、前期を11月3日~26日、後期を28日~12月16日とし、前期で「鳥獣人物戯画絵巻」4巻の前半部分、後期で後半部分を展示する予定。

このほか、「墨画土器(長屋王邸宅跡出土)」や「放屁合戦絵巻」など、戯画や「白描」に通じる一連作品を紹介していく。

入館料は一般が1,300円、大・高校生が1,000円、中学生以下が無料。開館時間は、日・月が10時~18時、水~土・祝日が10時~20時で、休館日は毎週火曜日となっている。