ヤマハは5月29日に新製品発表会を行い、パソコン上での快適な録音環境を実現するデジタルミキシングスタジオ「n12」「n8」、簡単な操作で音楽制作が楽しめるコンピュータレコーディング用パッケージ「MW12CX」「MC12C」「MW8CX」「MW10C」、合計6製品を6月25日に発売すると発表した。

「n12」「n8」は、音にこだわるプロ/アマチュアミュージシャンに、快適で創造的な音楽制作環境を提供することをコンセプトとして開発された、ハードウェアとソフトウェアをパッケージしたレコーディングシステム。ハードウェアとしてはn12が12チャネル、n8が8chのデジタルミキサーで、IEEE1394ポートによりパソコンと接続できる。チャンネルストリップ部、多彩なモニターコントロールを実現するモニターコントロール部、パソコンと連携して同梱ソフト「CUBASE AI 4」のコントロールが可能となるトランスポートコントロール部で構成される。

入力部は高級オーディオ機器で使用される「インバーテッドダーリントン回路」を採用した、新開発のディスクリート方式Class-Aマイクプリアンプを搭載、歪みが少なく、豊かな低音と伸びやかな高音を実現したという。また電源部に搭載される電解コンデンサは、このnシリーズ専用に新たに開発したもので、密度の高い中音域も達成している。

各チャンネルには同社が次世代音源の開発を目的として開設された技術開発グループ「K's LAB」によって開発されたコンプレッサーやイコライザ、リバーブが搭載されている。「Sweet Spot Morphing Compressor」はK's LABの長年の研究に基づいてチューニングされた「Sweet Spot」を持ち、コンプレッサーのセッティングを感覚的に設定できるMORPHノブ、かかり具合と音量を同時に調節できるDRIVEノブの2つだけで操作できる。コンプレッサーに関する専門的な知識や経験が必要なく、直感的な操作で音作りできるのが特徴だ。イコライザもK's LABのノウハウによりチューニングされた「Musical EQ」、リバーブはプロ用リバーブとして評価されている「プロフェッショナルマルチエフェクターSPX2000」などに搭載されている「Rev-X」リバーブを搭載している。

同梱される「CUBASE AI 4」はSteinberg社のDAWソフト、48トラックのステレオオーディオ、64トラックのMIDIに対応し、25種類のVSTエフェクト、そして150音色以上の基本音色がプリセットされたVSTインストゥルメント「HALionOne」が含まれている。n12およびn8はトランスポートコントロール部のボタンでCUBASE AI 4の再生/録音/停止といったコントロールが可能となっているだけではなく、ワークモードスイッチによりn12/n8のアナログ入力とCUBASE AI 4からの入力を瞬時に切り替えたり、ダイレクトモニターとVSTエフェクトモニターをボタン1つで瞬時に切り替えることが可能だ。またCUBASE AI 4にはnシリーズ専用のプロジェクトテンプレートも用意されている。

動作環境はWindows XP / Windows Vista / Mac OS X 10.4以上、価格はn12が168,000円、n8が120,750円となっている。

4機種が発表されたNew MWシリーズは、「MW12」「MW10」の後継となるミキサータイプのUSBオーディオインタフェース。全製品にCUBASE AI 4が同梱され、音楽制作に必要なツールがワンパッケージで提供される。パソコンとはUSB1.1端子で接続するが、Windows/MacともOS標準のドライバで動作するため、専用ドライバのインストールは不要だ。Windows環境では同社Webサイトで配布されるASIO DirectKS Driverをインストールすることで、レイテンシを低く抑えることもできる。

New MWシリーズの特徴は、各入力チャンネルに、1つのノブを回すだけで直感的な音作りが可能となるアナログコンプレッサー「1-knob Compressor」が搭載されたこと。さまざまな入力ソースに活用でき、また一般的に難しいとされているコンプレッサーが知識や経験がなくとも、誰でも簡単に音作りができるようになっている。

「MW12CX」「MW8CX」はエフェクト内蔵タイプ、リバーブやディレイ、コーラスといった空間系のエフェクトを中心に、実用性の高い16種類の高品位なデジタルマルチエフェクト「SPX」が搭載されている。その他、「MW12CX」「MW12C」にはボタン1つでパソコンへの録音チャンネルを選択できる「REC BUSアサインボタン」も用意されている。

New MWシリーズの動作環境はWindows XP / Windows Vista / MacOS X 10.3.3以上、オープンプライスだが推定価格は、MW12CXが40,000円前後、MW12Cが34,000円前後、MW8CXが29,000円前後、MW10Cが23,000円前後。

なお同梱されるCUBASE AI 4の動作環境はWindows XP / MacOS X 10.4以上となっている。現時点ではWindows Vistaには非対応だが、アップデータにより対応が予定されている。

多彩な入力端子を備えるデジタルミキシングスタジオ「n12」、各チャンネルフェーダーは100mmストロークとなっている。また5.1chサラウンドモニターにも対応している

「n8」は入力チャンネル数が少なくなり、5.1chサラウンドモニターには非対応となるが、それ以外の基本機能はn12と共通だ

n12/n8のレベルメーターにはSteinbergロゴマークがインジケータとして装備される。同梱ソフト「CUBASE AI 4」のコントロールが可能な場合、このインジケータが点灯する

16系統のデジタルエフェクトである「SPX」を搭載した「MW12CX」

8ch入力のコンパクトな本体にデジタルエフェクト「SPX」を搭載した「MW8CX」

1個のノブでコントロールできる「1-knob Compressor」、録音チャンネルを選択できる「REC BUSアサインボタン」を搭載した「MW12C」

コンパクトでシンプルな「MW10C」。なお「MW8CX」と「MW10C」は別売マイクスタンドアダプターを使うことで、マイクスタンドへの装着も可能となっている