パイオニアは、AVマルチチャンネルアンプの新モデル「VSX-517」を発表した。発売は、6月中旬で、価格は5万5000円。VSX-517は、昨年5月に発表された「VSX-516」の後継となる、同社のAVマルチチャンネルアンプのエントリーモデル。実用最大出力は100W/ch。

エントリークラスながら、豊富な機能を搭載する「VSX-517」。2本のスピーカーからサラウンド環境を構築できるので、手軽に大画面テレビのサウンド環境を整えられる

VSX-516からのおもな変更点は、出力チャンネル数が6から7に増やされた点、「PHA(Pioneer Hybrid Amplification)」の性能アップ、「フェイズコントロール」技術の搭載、「フロントサラウンド・アドバンス」機能など。

チャンネル数の増加により、7.1ch再生が可能になった(サブウーファー用プリアウトも装備)。PHAは、同社独自の高音質技術。増幅素子は、温度によってその特性が変化するが、その変化を補正し、歪み率を低下させるというもの。また、フェイズコントロール技術は、低域の時間差と位相をコントロールする技術で、従来は「VSA-1016V」などのミドルクラス以上のモデルにのみ採用されていた。フロントサラウンドアドバンス機能は、2本のスピーカーのみで、サラウンドを実現するもの。左右のスピーカーからの直接音の音圧差のみでサラウンド再生を実現するという機構で、一般的なフロントサラウンドシステムに比べ、部屋の環境に左右されない。また、コンテンツの周波数特性を加工することがないため、自然な再生が可能といった特徴も持っている。先日発表された「スマートシアター」シリーズなどのホームシアターシステムに搭載されていたもので、マルチチャンネルアンプへの搭載は今回が初となる。

搭載しているデコーダーは、DTS、DTS-ESディスクリート6.1、DTS-ESマトリクス6.1、DTS Neo:6、DTS 96/24、ドルビーデジタル、ドルビーデジタルEX、ドルビープロロジック、ドルビープロロジックIIx、MPEG-2 AAC、Windows Media Audio 9 Professionalとなっており、VSX-516から変化はない。

入力端子は、音声系が、デジタル(光×2/同軸×2)とアナログ2系統。USBポートやデジタルオーディオプレーヤーからの入力用のステレオミニジャックもフロントパネルに装備する。映像系では720pに対応したD端子が2系統。さらに、S×3、コンポジット×4を装備する。なお、HDMI端子は搭載されていない。

出力端子は、オーディオ×1、AV×1、S-Video×1、映像モニター出力×1、サブウーファー出力×1となっている。