フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは24日、昨年12月から実施している「68K/ColdFireアプリケーション・プログラミング・コンテスト」の最終選考会を行い、結果を発表した。また選考会が行われた会場では、6月に発売する予定の廉価版ColdFire評価ボードも初めて公開された。

最終選考会の様子。会場は前回のコンテストと同じく、ヒロセ本社ビル5Fだった

コンテストの結果発表

ColdFireマイクロプロセッサ開発キット「M5475EVB」を使ったアプリケーションのコンテスト。M5475EVBが特別価格で提供されるため、限定40名の募集となっていたが、定員を大幅に超える58名からの応募があったという。最終選考会には、応募の中から6名7作品がノミネート。その中から最優秀賞1点、優秀賞2点、特別賞1点を選定した。

最優秀賞となったのは、飯塚連也氏の「ねずみくんとポーカーしようよ」。ボード搭載のVGAを利用したトランプゲームで、グラフィカルで完成度の高い仕上がりになっていた。「大好きな68000の賞をもらえて一生の記念になります」と飯塚氏。フリースケールからは、記念の盾と商品券10万円分が贈呈された。

最優秀賞の飯塚連也氏(右)。シャープX68000のユーザーだったという。フリースケールの高橋恒雄社長(左)から記念の盾が手渡された

VGAを使った作品は多くはなかったが、中でも完成度が高かった。それもそのはず、開発者の飯塚氏は業務用ゲームのプログラマーだとか

優秀賞に選ばれたのは、山本忠史氏の「ネットワークデータ収集&表示装置」と佐藤嘉則氏の「680x0エミュレーション機能内蔵Linux」。そして特別賞には竹本正志氏の「Co-panda(DLNA対応フォトビューアー)」が選ばれた。

山本忠史氏の「ネットワークデータ収集&表示装置」。ニュースや天気予報などを表示することができる。ちなみにこのパネルは秋月で買ったものとか

佐藤嘉則氏の「680x0エミュレーション機能内蔵Linux」。ColdFireが対応していない680x0命令のみエミュレートするので、全体的に高速に実行できる

竹本正志氏の「Co-panda(DLNA対応フォトビューアー)」

最終選考に残った6名7作品

審査員を務めた鈴木淳一・九十九電機代表取締役は、「弊社の荒井(現・ツクモロボット王国店長)は、シャープのX68000を日本で一番たくさん売った男。その68000の流れを汲むColdFireを搭載するボードの審査ということで、本当に縁があるなと楽しくやらせていただいた」とコメント。

同じく審査員の山海嘉之・筑波大学大学院システム情報工学研究科教授も、「個人でNeXTを買ったことがある」とエピソードを披露。今回の応募作品については、「すぐにでも買ってみたい作品もあった。少しアレンジするだけでビジネスに展開できるようなレベルのものがあるのは驚き」と評価した。

コンテストの受賞者と審査員。右端が鈴木淳一・九十九電機代表取締役で、その隣が山海嘉之・筑波大学大学院システム情報工学研究科教授

マイコンキット新製品、次のコンテストも

同日、マイコンキットの新製品「USBSPYDER08」の発表も行われた。MC9S08QG、MC9S08QD、MC9RS08KAといった同社のローエンド8ビットマイコンの開発が行えるもので、PCのUSBポートに挿入して手軽に利用できる。このキットにはインサーキット・デバッガも搭載されており、開発したプログラムの実行をトレースして、バグを見つけ出すことも可能。

マイコンキットの「USBSPYDER08」。"SPYDER"という名称はもちろん"SPIDER(クモ)"から来ているが、これは8ピン(8本足)マイコン、バグ(虫)を捕らえる、実行を"SPY(トレース)"することから命名されたようだ

本体はUSBメモリタイプ。中央に見える8ピンソケットにささっているのがMC9S08マイコンで、PCで開発したプログラムを書き込むことができる。ソケットの隣にはI/O用のピンヘッダも用意されている

「CodeWarrior Development Studio Special Edition」が入ったCDも付属されており、買ってすぐにマイコンの開発を始めることができる。九十九電機では25日より販売を開始し、価格は100個限定の特別価格で3,000円(以降の通常価格は4,000円程度になるそうだ)。

また、昨年末に行われた同社の発表会において、ColdFireを搭載する廉価版の評価ボードも開発中であることが明らかにされていたが、その試作品が今回初めて披露された。

ColdFireの廉価版ボードを披露する高橋社長

搭載するマイコンやVGAはM5475EVBと同じで、インタフェースなどを簡略化して低コスト化を図った製品。価格については前回、高橋恒雄・フリースケール代表取締役社長から「1回飲みに行く値段くらい」との説明がされていたが、今回、「まだ詰めている段階だが、神田で飲むよりは高くなるかも」とさらに突っ込んだ発言があった。発売時期については、6月下旬を予定しているという。

できたばかりという試作ボード。実際の製品では、PCIソケットやピンヘッダなどは省略されるそうだ。ど真ん中がColdFire

基板の裏面。コスト重視ということで、あまり詰めた感じはしない。ちなみにこの基板のサイズは20×15cmだとか

同社は昨年に引き続き、今年も「電子工作キット製作コンテスト」を開催する。同社製8ビットマイコンを使った作品を応募するもので、5月10日より応募の受付を開始。教材として優れた作品は、夏休みの工作教室の題材として使用される予定だ。詳細については、WEBサイトを参照。