多機能メモアプリ「Evernote」が、無料プランの大幅な縮小を発表した。保存可能なノートの数がこれまでの10万から一気に50にまで減らされるなど、無料のまま使い続けるのは実質困難といっていい制限だ。影響を受けない有料ユーザの中にも、同社の唐突な対応を見て、将来への不安を感じる人も少なくないようだ。

今回は、そんなEvernoteからの移行先となりうるサービスを7つ紹介する。Evernoteはこの10年ほど、何かに付けて他サービスへの移行が話題に昇るが、候補として挙げられるサービスも変遷が見られる。今回は変わらず名が挙がる定番サービスはもちろん、最近名が挙がるようになったサービスもピックアップした。

なお選定にあたっては、Windows/Mac/iOS/Androidで利用できること、また何らかの形で無料プランが用意されていることを最低条件にしているが、移行先となるサービスに求める機能は、ユーザごとに大きく異なると考えられる。実際に移行を行うにあたっては、目的に叶うか否か、可能な限り使い込んでから判断することをお勧めする。

移行先のド本命、多機能ぶりに定評のある「Notion」

移行先のド本命と言えるのが「Notion」。多機能ぶりでは突出しており、個人はもちろんチームでの利用にも向いているが、UIの癖の強さはEvernoteに負けず劣らずで、これに合うか合わないかがひとつのポイントになるだろう。

今回紹介している中で唯一、メールアドレスでの新規登録ができないので要注意。UIが日本語に対応しているほか、Evernoteからのインポートツールが用意されているのも大きな強みだ。

  • Notionのトップ画面

Windows利用者の使い勝手がよいMicrosoft純正サービス「OneNote」

Microsoftの「OneNote」も定番として名前が挙がるサービスのひとつだ。

Microsoft 365およびMicrosoftアカウントとひもづいており、Windowsをメインで使うユーザー向けの製品という印象は否めないが、Windowsに馴染んでいるユーザにとっては使い慣れたUIであるほか、条件によっては格安で使えるのが売り。対応プラットフォームも多彩だ。また手書き入力に強みを持つ点は、タブレット利用者には刺さるはずだ。

  • OneNoteのトップ画面

Googleユーザーお馴染みの「Google Keep」、シンプルなUIが特徴

Google Keep」も定番として名前が挙がるサービスだ。テキストと画像を混在して保存できるほか、ラベルを用いた分類機能も強力だが、すべてのメモがタイル状に並ぶホーム画面は好き嫌いが分かれるところ。

Evernoteとは設計思想も大きく異なっており、今回紹介している中でも、使い勝手はかなりの違いがある。とはいえ、Googleアカウントを常用しているユーザであれば、試さない手はないだろう。

  • Google Keepのトップ画面

幅広いファイルに対応、コラボツール的に使える「Dropbox Paper」

Dropbox Paper」は、ご存知オンラインストレージサービス「Dropbox」に付属するドキュメント編集ツール。

エディタはMarkdown記法に対応しており、画像やメディア、表、さらにはDropboxにアップされているファイルの追加も可能。強力な共同編集機能を備えるなど、Evernoteと比べるとコラボツールとしての性格が強く、むしろそうした用途で使われることが多いようだ。Dropboxのストレージ容量が潤沢にある場合は、チェックしておくべきサービスだ。

  • Dropbox Paperのトップ画面

エディター機能をはじめテキスト入力に強い「UpNote」

UpNote」もEvernoteからの移行先として近年よく名前が挙がるサービス。Markdown記法に対応したエディター機能を備えるなどテキスト入力に強みを持ち、ウェブクリップ機能も搭載。

有料版では最大50個というノートの作成数の上限がなくなるほか、添付ファイルやデータインポート機能が利用可能になる。ブラウザから利用できないのが玉に瑕だが、UIがほぼ日本語に対応しているほか、Evernoteからの公式な移行ツールがあるのも強み。

  • UpNoteのトップ画面

紙のノートにアイデアをまとめる感覚で使える「Milanote」

Milanote」も近年その名前を聞く機会が増えたサービス。分類上はオンラインノートだが、ひとつのボードの上にノートや画像、リンク、ToDoなどさまざまな要素を配置し、アイデアを整理することから、紙のノートにアイデアを殴り書きしてまとめる作業を置き換えるデジタルツールと考えればよい。

UIが英語ということもあるが、初見でのとっつきにくさはEvernoteに通ずるものがあり、軌道に乗るまで我慢できるかがポイントになる。

  • Milanoteのトップ画面

多彩なプラグインと外部サービス同期が魅力の「Joplin」

Evernote代替として頻繁に名前が挙がるUpNoteやMilanoteと異なり、ややマイナーながらもオープンソースで開発されていることから一部で人気が高いのが「Joplin」。

メモはMarkdown記法に対応するほか、ウェブクリップ機能をはじめとした多彩なプラグインを用意。また同期機能では有料のJoplin Cloud以外に、DropboxやOneDriveなど外部サービスも利用できる。やや中級者向けではあるが、大きく伸びる可能性を秘めたサービスだ。

  • Joplinのトップ画面