小学校を皮切りに、今年度から中学校でもプログラミング教育が必修化されました。来年度からは高校でもスタートします。そんななか、「そもそも子どもが学校で何を学んでいるのかわからない」「自分自身のPCスキルに不安がある」と悩む親が多いそうです。
そこで今回は、プログラミング教育の実情を踏まえ、親としての心構えやこれから子どもたちに求められる力について、教育評論家の親野智可等(おやの ちから)先生にお話をうかがいました。
「親力」とは? 子どもたちの成長には家庭環境が大きく影響する
――本日はよろしくお願いいたします! まず、親野先生が「親力(おやりょく)」を提言されるようになったきっかけを教えてください。
大学を卒業して小学校の先生になったのですが、教育に携わってすぐに気づいたことがありました。それは、子どもたちの成長に家庭環境が大きく影響する、ということです。教室で同じように働きかけをしているにもかかわらず、ぐんぐん伸びる子もいれば、そうでない子もいる。後者の子どもたちは自己肯定感や他者信頼感が低い傾向にあり、学校でどれだけ褒めてあげても、家で親から叱られっぱなしということが往々にしてありました。子どもたちへの指導だけでは不十分と感じたため、学級だよりを書いたり、懇談会でお話ししたりして親の啓発にも力を注ぐようになったのです。
「親力」というキーワードを作ったのは、40代前半の頃に「親力で決まる子供の将来」と題したメールマガジンを始めたことがきっかけでした。2年半くらいは教師と二足のわらじを履いていましたが、出版したり講演やテレビ番組に呼ばれたりするようになると、次第に忙しくなってきまして。そこから退職を決め、「親力」を提言する教育評論家として独立しました。
――親が「親力」を身につけるには、どうすれば良いのでしょうか?
最も大切なのは、子どものありのままの気持ちや状態を理解し、共感的に受け入れてあげることです。愛情が空回りしてしまっている親は少なくありません。「こういう人間に育てないといけない」「この欠点を直してあげないといけない」と理想ばかりが高くなると現実との間にギャップが生まれ、「こうしないとダメ!」「なんでできないの?」といった否定的な言葉がどうしても多くなってしまいます。そうなると、子どもの自己肯定感が低下していくのです。また、「こんなダメな自分は親にも愛されていない」と親への愛情不信につながり、ひいては世間一般に対する他者不信感を募らせることにもなりかねません。ですので、否定的な言葉は極力使わないようにして、子どものありのままを認めてあげたうえで褒めることから始めてもらいたいと思います。
そして、子どもの存在そのものを褒めてあげることも大事です。愛情をストレートに表現することを恥ずかしがらず、「大好きだよ」とか「パパとママの宝物だよ」とか「一緒にいられて嬉しいよ」といった言葉を子どもに伝えてあげてほしいですね。
――現在、コロナ禍で子どもたちの生活が制限されていますが、「親力」の重要性は増しているのでしょうか?
それは間違いありません。一緒にいる時間が増えたからか、「子どもを叱る回数が増えた」という調査データもあります。そうなると、子どもたちの自己肯定感も低くなってしまいます。これは深刻な事態です。コロナ禍によって親子の触れ合いが増えているからこそ、「親力」は子どもたちの成長にとってますます重要になっています。
まだまだ手探りなプログラミング教育の狙いと実情
――学校教育にも大きな変化が起きています。象徴的なのが「プログラミング教育」ですが、導入の狙いは何なのでしょうか?
まずは社会全体のIT化が加速していることが挙げられます。将来どんな仕事に就くにしても、ITリテラシーは欠かせません。加えて、従来のやり方が通用しない正解のない時代に突入し、問い自体を自分で立てなければいけなくなりました。自ら問題を設定し、論理的思考力をもって試行錯誤しながら解決していく。まさにプログラミングの過程そのものです。プログラミング教育では、論理的思考力を身につけ、問題解決能力を高め、複雑化している社会のなかで生き抜いていくために順序立てて考える力を養うことが目的とされています。
――プログラミング教育という言葉だけが先行している印象で、中身についてよく知らない親が多いようです。学校ではどのような内容を勉強するのでしょうか?
小学校では、画面上のブロックをつなぎ合わせてプログラムを作る「Scratch(スクラッチ)」というビジュアルプログラミング言語や教育版のマインクラフトなどが活用されていますが、まだまだ手探り状態であることは否めません。
一部の中学校ではLINEのようなコミュニケーションアプリを作成するなど、少し高度な内容を扱うこともあるようです。また、静岡県藤枝市の小・中学校では、ソフトバンク社のロボット「Pepper(ペッパー)」を配置してプログラミング教育に活かしています。ほかにも、企業と連携してプログラミング教育を推進しようとしている自治体が見られますが、いずれにせよ地域や学校単位で異なっているのが実情です。
否定的な言葉を使わず、子どもと一緒に親子で楽しもう!
――地域や学校によって差があるとすると、自宅学習で補う必要がありそうです。具体的にどういったことをすれば良いでしょうか?
今では幼児でも玩具感覚で遊びながら学べるプログラミング教材もたくさんありますので、そういったものを取り入れれば、現時点では学校より充実した内容を修得できるはずです。また、すべてを親が教えていくのは現実的ではありませんので、プログラミング教室に通ったり、通信教育を受けたりするのも良いでしょう。
――その際、子どもに関わる親が気をつけるべきことはありますか?
否定的な言葉を使わないのが第一です。子どものやる気が一気に失われてしまって、脳もうまく働かなくなりますから。楽しくないと子どもは続きません。褒めたり驚いてあげたりして肯定的な言葉をかけながら、親子で楽しむようにしてください。あと、背伸びしたり、無理強いしたりしないことです。「できた!」という喜びが学びの意欲になりますので、簡単なことから始めるようにすると良いでしょう。
――読者の方からは、プログラミング教育について次のような質問がきています。こちらはいかがでしょうか?
質問① 自分自身、パソコンがまったく得意ではないので、自宅でサポートできるか不安です。
子どもと一緒に楽しみましょう。繰り返しにはなりますが、否定的な言葉を使うのはNGです。そのうち子どものほうが得意になってきますので、そうなれば教えてもらうようにすると良いでしょう。
質問② 他の教科の学習時間が減ることで、後々支障が出る可能性はありますか?
学校のプログラミング教育については従来の教科のなかで実施することになっていますので、算数や理科が削られるわけではありません。理解を深めるためにプログラミングを活用しようという考え方なので、大丈夫ですよ。
親野先生に聞いてみた!子どもにおすすめのパソコンは?
――自宅学習でPCを使う際は、どういった基準で選ぶと良いでしょうか?
「CBT(Computer Based Testing)」というコンピュータ上で受験する方法が今後浸透するかもしれません。スマホやタブレットは便利ですが、CBTに備えるためにも小学生のうちからキーボード操作にも慣れていたほうが良いでしょう。子どものパソコンを選ぶ際は、重さと丈夫さ、好みのキーボードのタッチ感をチェックしてみてください。
そこで親野先生には、国内PCメーカー「マウスコンピューター」から3つのPCをおすすめしてもらいました。それぞれの特徴とともにご紹介します。
■mouse X4-i7
「mouse X4-i7」は、インテル Core i7-10510U プロセッサーを搭載した14.0型のノートPC。本体にはマグネシウム合金が使われているため、低学年でも持ち運べる軽量・コンパクトな設計です。同時に丈夫さも実現しているので、誤ってパソコンをカバンに入れたまま放り投げてしまっても安心。小学生におすすめしたい一台です。
★親野先生のおすすめポイント
価格がリーズナブルなので、小学生の初めてのPCにも最適です。スペックは十分高く、長く使えるでしょう。軽いので、小学生でも持ち運びしやすいと思います。
■DAIV 4P
クリエイター向けブランド「DAIV」のなかで、最軽量となる1kg未満を実現した「DAIV 4P」。薄型ボディですが性能の高さは申し分ありません。さらに、イラストやアートワークが作成できる「CLIP STUDIO PAINT DEBUT」がついてくるので、お絵かき好きの子どもにはもってこいでしょう。
★親野先生のおすすめポイント
クリエイター向けのパソコンとあって、イラストに興味をもち始める小学校高学年や中学生におすすめです。コンパクトで1kgを切る軽さは魅力ですね。
■G-Tune P5-H
「G-Tune P5-H」は、世界で活躍するプロゲーマーにも愛されるゲーミングPCブランドから登場した15.6型ノートPCです。スペックの高さは言うまでもなく、負荷がかかりやすいオンラインゲームなどにも難なく対応してくれます。ゲーミングPCならではの「カチッ」としたキーボードの打ち心地は、親野先生からもお墨付きをいただきました。
★親野先生のおすすめポイント
ゲーミングPCとして使えるのが良いですね。オンラインゲームが好きな子どもや、eスポーツに挑戦したい子どもには喜ばれるのではないでしょうか。もちろん子どもだけだとゲームをやりすぎてしまう可能性があるので、親子で相談してルールを決めて時間を区切ったり、親も一緒に遊んだりするように意識してみてください。他の2つのPCと比べてやや重いですが、中学生や高校生なら問題ないでしょう。
「親力」を発揮して子どもを応援! 自己実現力の礎となる
――最後になりますが、未来を生きる子どもたちはどのような力が求められるのでしょうか?
たとえば高度経済成長期には目指すべき明確なゴールがありましたが、価値観が多様化した現代においては正解がありません。誰もが自分にとっての正解を見つけなければならないのです。そのためには「これをやりたい!」と主体的に行動を起こしていくことが不可欠です。
ただ、このような主体性は大人になってから急に身に付くものではなく、子どもの頃の体験が鍵を握っています。親に抑えつけられて育った子どもが主体性を帯びるのは難しいでしょう。ですから、普段から「親力」を発揮して、子どもがやりたいことを全面的に応援してあげてください。親が応援してあげると、子どもはどんどん学びを深化させていくことができます。正解のない時代を自らの手で切り拓いていく自己実現力の礎となるでしょう。
――やりたいことを見つけて、実現していく。そのプロセスに欠かせないスキルを得られるかどうかは、プログラミング教育だけでなく、親の関わり方によって左右されるんですね。貴重なお話をありがとうございました!
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