ベンキュージャパンの「ST550K」は、55型サイズで4K(3,840×2,160ドット)解像度のデジタルサイネージ向け液晶モニタだ。カスタム仕様のAndroid OSを搭載しており、Windows専用のコンテンツ作成ソフトで作ったデジタルサイネージを柔軟に表示、運用できる。PC向けの液晶ディスプレイとはちょっと違ったST550K、実際に触れながら紹介していこう。
デジタルサイネージ用の液晶モニタって?
街を歩いていると、デジタルサイネージ(電子看板)をよく見かけるようになった。規模やモニタの台数にもよるが、デジタルサイネージで表示するコンテンツは、ネットワーク経由で制御されるか、モニタ本体に保存したデータを自動再生していることが多い。また、小型PCや産業用PCを直結して、PC側からコントロールしている場合もある(一般的な環境のPC+液晶ディスプレイと同じと考えてよい)。
PC用の液晶ディスプレイとデジタルサイネージ向け液晶モニタの違いは、画面サイズや設置方法、耐久性といった部分とともに、機能面が大きい。モニタ本体にネットワーク機能がほぼ必須だし、コンテンツの再生機能、ひいては何らかのOSも必要だ。
単独でさまざまなことができるST550K
そこで今回のST550Kだが、標準で100BASE-TX対応の有線LANを備え、OSとしてカスタム仕様のAndroid 4.3を搭載している。CPUはARM Cortex A9(1.5GHz)クアッドコア、メモリは2GB、ストレージは8GB(OS搭載領域含む)、本体サイズはW1,247×D324×H791mm(スタンド使用時)、重量は約20kgだ。
Android用アプリの追加には対応していないものの、標準で「ブラウザ」「ES File Explorer」「マルチメディアプレーヤー」「WPS Office」などのアプリをプリインストール済み。ST550K単体で、Webサイトの閲覧、静止画/動画/音楽の再生などが可能だ。WPS Office(旧KINGSOFT Office)はMicrosoft Officeと互換性があるため、オフィス文書の表示や編集も行える。
各種の操作は、基本的に付属のリモコンを使う。
4方向ボタンとOKボタンの操作は、ブラウザでの文字入力やマウスカーソル移動がちょっと面倒だが、それ以外はさほど気にならない。専用リモコンだけあって、各プリインストールアプリの呼び出しを割り当てたボタンが一通り用意され、とてもすばやい操作が可能だ。
加えて大きな特徴となっているのが、ST550K側にプリインストールされた、BenQ独自開発の「X-Sign Player」と、Windows用ソフト「X-Sign Designer」だ。まずX-Sign Designerは、ST550Kで表示するデジタルサイネージのコンテンツを作成するためのソフトウェア。X-Sign Designerで制作したコンテンツをUSBメモリにエクスポートして、そのUSBメモリをST550Kに接続すると、自動的に再生が始まる。
X-Sign関連は追って詳しく触れるとして、ST550Kの基本スペックをまとめておく。画面は55型のIPS方式で、解像度は3,840×2,160ドットの4K、タッチパネルではない。輝度は350カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1200:1、視野角は上下左右とも178度、応答速度は6msだ。市販のVESA金具を使用し、壁掛け設置のほか、スタンド(同梱)を使った設置にも対応する。
映像入力インタフェースは、HDMI×3(うち1基はMHL対応)、D-Sub×1、RCAコンポーネントビデオ×1という5系統だ。4K入力は、HDMIを用いた2160p/30Hzまでとなる。映像出力としてRCAコンポジットビデオ×1を持つ。本体には8W+8Wのスピーカーを内蔵し、オーティオ入力はL/R RCAまたはHDMIだ。USB 3.0×1とUSB 2.0×3は主に、ST550Kで再生するデジタルサイネージコンテンツを保存したUSBメモリを挿すために使う。