カシオ計算機の電子ピアノ「Privia(プリヴィア)」シリーズといえば、発売から14年の歴史を持つ、コンパクトでスタイリッシュな電子ピアノである。電子ピアノの新たなるシーンを切り拓いた「Privia」には、その語源である「Private Piano」が示す通り、"誰もが手軽かつ身近にピアノ演奏を楽しめるように"との想いが込められている。

そんなPriviaシリーズの最新モデルが、「PX-770」と「PX-870」だ。今回、Priviaシリーズをはじめとした同社電子ピアノ製品の現状から、最新モデル「PX-770」「PX-870」の開発にまつわるエピソードやその魅力について、カシオ計算機の松田 貴生氏と阪下 彰氏にお話を伺ったので、詳しくレポートしていく。

よりコンパクトでスタイリッシュになったPriviaシリーズの最新モデル「PX-770」 (左)と「PX-870」(右)が、この秋に登場。両機種とも、心地よく演奏できる電子ピアノに仕上がっている

目的や環境に合わせて選べるカシオの電子ピアノ

―― まずはじめに、カシオの電子ピアノといえば、「CELVIANO」「Privia」「CELVIANO Grand Hybrid」の3シリーズがラインナップされていますが、それぞれの特徴などについて教えてください。

松田氏:「CELVIANO」シリーズは、家庭用電子ピアノの中でも、比較的オーソドックスなカテゴリーに属する製品といえます。ピアノらしさを追求したルックスに仕上げており、アップライトピアノの代替機として発展してきた電子ピアノに求められるであろう、スタンダードなスタイルが特徴です。

一方、2003年に登場した「Privia」シリーズは、それまでの電子ピアノとは一線を画す斬新なコンセプトを打ち出し、スリムでスタイリッシュなデザインなどによって新たな市場を築き上げた製品です。「Privia」シリーズには、電子キーボードのように簡単に持ち運べるコンパクトタイプ(スタンド別売)と、省スペースながら本格的なピアノ演奏を楽しめるスタンド付きタイプの2種類があります。また、デザインのみならず優れたコストパフォーマンスも大きな魅力となっています。

さらに、一昨年に発売された「CELVIANO Grand Hybrid」は、弊社開発陣の長年の夢を実現させたプレミアムな電子ピアノです。世界的ピアノメーカー"C.BECHSTEIN"社と共同開発した極上のグランドピアノ音色を始め、ナチュラルグランドハンマーアクション鍵盤(木製鍵盤)の採用など、デジタルとアコースティックの長所を融合させた最上位シリーズとなっています。

特徴やユーザー層が異なる電子ピアノ「CELVIANO」「Privia」「CELVIANO Grand Hybrid」3シリーズがラインナップ。ユーザーの目的や環境、予算などに合わせて最適な電子ピアノを選択可能だ

―― 電子ピアノ3シリーズをそれぞれ使用されているユーザーは、どのような方々なのでしょうか?

カシオ計算機 楽器戦略部 企画室長 松田貴生氏

松田氏:まず「CELVIANO」は、お子さんのために購入されているというケースが多いですね。お子さんが一番はじめに触れるピアノは、なるべくグランドピアノに近いスタイルのものをということでお選びいただいているようです。

また、「Privia」については、コンパクトタイプは大学生などワンルームにお住まいの方を中心に人気が高く、スタンド付きタイプはインテリアとしても馴染むことから、若い女性を中心に幅広く支持されています。

最後に、「CELVIANO Grand Hybrid」についてですが、当初の想定としてはプロピアニストや音大生、専門学生など、本格的にピアノ演奏を行われる方々に向けて開発したものです。しかし、そういったハイエンドユーザーの方々にご購入いただいているのはもちろん、これからピアノを始められるお子様のために、最初の1台として選んでいただくケースも多々あるようです。これは、電子ピアノとして利便性を有しつつも、音楽教室にあるアコースティックピアノに近い弾き心地やサウンドを、ご家庭での練習時にも求められている結果であると理解しています。