Rolandは、DTM(デスクトップミュージック)の分野では早くからDAC内蔵のオーディオ/楽器用インターフェイスを手掛けており、その意味ではいわゆるPCオーディオの先駆者でもある。先に発売されたMobile UAは、その血筋を受け継ぐハイレゾ対応のインターフェイスで、ローレゾのアナログ音源さえも1bitでハイレゾ並みの音源にアップコンバートする独自のDSPエンジン「S1LKi」を搭載していた。そのため、ポータブル型ながら、USB-DACとして高い評価を得たのは記憶に新しい。

今回のSuper UAは、同じく「S1LKi」(本機に合わせてチューンナップ)を搭載した据置型のUSB-DAC/オーディオインターフェイスである。 がっしりとしたアルミダイキャスト製ボディに、視認性の高いLEDレベルメーターやボタン、ジョグダイヤルを搭載したパネルレイアウトを採用。 さらに、Mobile UAは再生専用だったが、こちらは録音もできるADC機能を持っている点が大きな違いだ。

オーディオ再生においてハイレゾ音源がステイタスを得たことに伴い、音楽・音源制作側でもハイレゾに対応した制作環境が求められてきている。 Super UAでは「S1LKi」のポテンシャルを活かしつつ、ハイレゾ録音を可能にする2系統のライン入力やヘッドフォン及びモニタースピーカーなどが数系統セットアップできるマルチ(6)チャンネル同時出力など、そうした環境に最適な機能を実現している。

クオリティの高い再生・録音が可能になったSuper UA

具体的な機能について、解説して行こう。ハイレゾ音源へは、最大352kHz/32bitまでのPCMに加え、DSD64(2.8MHz)、DSD128(5.6MHz)までのデータに対応している。ただし、DSD64はDoP方式によるネイティブ再生可能だが、352kHzPCMは176.4kHzのPCMへ、DSD128はDSD64へダウンコンバートして再生される。この際「S1LKi」は外部から入力されたPCM信号を一旦176.4または192kHzへアップコンバートし、DSD64(2.8 MHz)の1bit信号へ変換してDACへ渡す。
つまり、通常はDACチップ内で行われる複雑な処理を前段の高機能DSP=S1LKiで行うわけで、そのためより理想的かつ効率的なDA変換作業が行われ、結果的に音質向上につながるというわけだ。なお、DSDフォーマットでの録音には対応していない。 最終的に音楽信号はアナログ音声としてヘッドフォン端子やライン端子から出力されることになるが、当然そのアナログ部分のオーディオ回路にも高品質な部品を採用。一般的なUSBバスパワー駆動のDACに対し、据置型ならではの電源強化も相まって、むしろスタジオ機器並みの充実した機能を備えている。

使い勝手の良いインターフェイス

そのひとつが、接続機器に応じて使い分けられるセパレートスタイルを採っていること。 これはプロ向けの録音用インターフェイスでも見られる方式で、48Vファンタム電源供給可能なマイク入力、ライン出力(いずれもバランスXLR端子)を、外付けのブレークアウトボックスにて提供するという方式だ。なお、ライン入力と出力は共に3極のTRSフォーン端子で、こちらもバランス接続対応となっている。しかし、楽器で使う2極モノラルのシールドケーブルやモニター用のパワードスピーカーも問題なく接続できる。ちなみに一般的なオーディオコンポとは、フォーン-RCA変換アダプターを併用すれば接続可能だ。

Super UAとパソコンは、マイクロUSB(ケーブル同梱)で接続する。重要なのは本機を接続する前に、パソコン側に専用ドライバーソフト(フリーウェア)をインストールしておくこと。すでに接続している場合は、本機を一度取り外し、改めてインストールが完了してから接続しないとパソコンに認識されない。Mac、Windowsそれぞれ専用のドライバーが必要なので、Rolandのサイトからダウンロードする。今回は筆者常用のMacPro(Mid 2010/2.4GB㎐ 8Core)を使用し、ハイレゾ再生を定番ソフト「Audirvana Plus」、録音は手軽なDTMアプリ「GarageBand」で検証してみた。 モニタリングは主にヘッドフォンを使用したが、Super UAはミニジャックとフォーンジャックの2系統がパラで出ているため、同時試聴や比較試聴が簡単で非常に便利である。

再生や録音のレベルは基本的にジョグダイヤルで調節し、より細かな設定はドライバーに付属するコントロールパネル(アプリ)で行う。 音量に応じてダイヤルを回すと、周囲のレベルインジケーターが点灯するのが視覚的に判りやすく楽しい。このジョグダイヤルは、ヘッドフォンを含めた入出力のON/OFFスイッチも兼ねている。本体がダイキャスト製である程度重量があり、しかも底面に滑り止めが付いているため、ダイヤルを頻繁に動かしても安定している。この辺の使い勝手は、エフェクターも多く手掛ける同社らしいところだろうか。

ハイレゾ再生のFLACでは、重低音が深々としているのに、音像がぼけることなくはっきりと判る。これは、ハイエンドのDACで聴かれるような低音のような感じだ。しかも全体に粒立ちが良く、しなやかな音である。刺激的ではなく、あくまでナチュラルで聴きやすい。また、エレキギターを接続して録音してみたが、入力時のレイテンシー(信号の遅延)も特に感じられず、ソフト内蔵のエフェクトの掛かりも良い。スタジオで聴き慣れたサウンドで入力できている印象だ。

本機のもう一つの使い方としては、アナログレコードのデジタル化がある。実はRolandはアナログ音声取り込み用インターフェイスの草分けでもあり、これも定番のソフト「Audacity」などを使えば、簡単にハイレゾでD/A変換してパソコンに保存できてしまう。ただ、この場合注意することは、Super UAにはフォノイコが内蔵されていないので、一度フォノ入力付きのアンプを通してライン出力から信号を取り出すか、フォノイコ内蔵のプレーヤーを使う必要があるということだ。

筆者もそうだが、音楽を演る人であれば、常日頃からRolandの電子楽器やエフェクターのお世話になっている人は多い。楽器とオーディオ機器を文字通りクロスオーバーさせる同社Super UAの存在は、そうしたユーザー層を含め、ハイレゾの魅力をさらに広く浸透させてくれるに違いない。


大塚康一
神奈川県藤沢市生まれ。4歳よりバイオリンの英才教育を受けたが、16歳でギターに転向。 ライヴ&スタジオワークや音楽学校講師を経て、現在は楽器を含む音楽/オーディオビジュアル/パソコン(特にMac)に関するマルチライター兼ミュージシャンとして活躍中。それぞれの分野での専門誌や一般誌、書籍、楽譜集を数多く手掛け、内外著名アーティストへのインタビューにも定評がある。趣味は中国武道(龍星館黒帯)、テニスなど。

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