Leopard解体新書(5) ～Spacesはイイ感じ～

突然ですが、皆さんは屋外でどのように暖をとっていますか? 使い捨てカイロ? それともやせ我慢? ツウなら、やっぱiPodでしょ。AIFFの楽曲を10分ほど連続再生して発熱、これですよ。裏から見ればハクキンカイロに似ていないこともないですし。これのどこがツウかって? 漢字で書いてみてくださいな。「痛」ですって。

Spaces……それはLeopardの新機能。新世代のAPIのもとタスクを続行し、未知のデスクトップを探索...はい、スタトレファン以外の方はすいません。今回のお題は「Spaces」です。

Spacesのよさは"段差"にあり

Leopardの新機能「Spaces」はかなりイイ。先日どこかで「こんな機能は自分には不要」的な論調の記事を見かけたが、ふだんOS Xを使っている人の意見とは到底思えない。筆者は4つの操作スペースを何度となく切り替える操作スタイルがすぐ"手癖"になったが、自分もそうだというLeopardユーザの数は少なくないはずだ。

なんといっても、操作スペースを切り替えるためのショートカットキーのアサインが秀逸。Emacsを定宿ならぬ定エディタにしている筆者は、[Control]キー(USキーボードなので本来はcaps lockだが)の上に小指が常にある状態なので、[Control]キーと[1]～[4]のキーを押すことになんの抵抗も感じない。数値キーの代わりにカーソルキーを使うこともできるので、直感的UIが好みのユーザにもしっくりくることだろう。

操作スペース間にある見えない"段差"は、Spaces独特の仕掛けだ。ウインドウを画面の端までドラッグし、約1秒待機すると、接する操作スペースへウインドウを移動できるが、PC-UNIX (X Window System)など他のOS / 仮想デスクトップソフトの多くには、この"段差"がない。うっかり画面の端へマウスカーソルを移動しようものなら、意図しない仮想領域へと画面が勝手に遷移してしまうが、"段差"を越えようという強いカーソルの動きが必要なSpacesにはその心配がないのだ。しかもウインドウをドラッグしているとき以外は"段差"を越えないので、イライラを感じる機会は少ない。

操作スペースをまたいで使う

個人的な意見だが、操作スペース全体の縮小画面が表示される「俯瞰モード」([F8]キーを押して発動)は、どちらかといえば"おまけ"だ。操作スペース全体の状況を確認したり、ウインドウを移動したりするときには便利なこともあるが、ふだんの作業は[Control]キーと数値キーを使った切り替えで十分。Spacesはキーボードで操作するもので、マウスの利用は最小限にとどめたほうがスマート……と思うがいかに。

それでもマウスの操作が必要な場面がある。操作スペース間でウインドウを移動するときだ。手順は2通り、ウインドウを"段差越え"でドラッグする前述の方法と、ウインドウをマウスで掴んだ状態で操作スペースを切り替えるショートカットキーを押す方法だ。

操作スペース間をまたいでファイルやテキストをドラッグ & ドロップするときも、マウスの力が必要。対象をマウスで掴んだ状態で、操作スペースを切り替えるショートカットキー([Control]＋[1]キーなど)を押せばOKだ。この場合、"段差越え"の方法は使えないので念のため。

自分好みにSpacesをカスタマイズ

慣れてしまうと快適このうえなく、Exposeの存在が霞んでしまう(つい本音が……)Spacesの操作性だが、少々引っかかることもある。そう、"段差越え"のときの1秒ほどのタイムラグだ。ほんの少しでいいから短くなれば……

同感だという場合には、以下のコマンドラインを実行してみよう。その約1秒(正確には0.75秒)のタイムラグが、半分程度に短縮される。「-float」に続く数値を0に近付ければ、より短くすることも可能だが、誤って隣の操作スペースに足を踏み入れる事態が頻発することになるため、あまりお勧めできない。

$ defaults write com.apple.dock workspaces-edge-delay -float 0.4
$ killall Dock

(注: デフォルトに戻す場合は、引数の一部を「-float 0.75」に変えて実行)

Spacesのデフォルトでは、[Control]キーとカーソルキーの組み合わせで操作スペースを切り替えると、漢字の「乙」のような流れで画面が遷移する。これに納得できない場合には、以下のコマンドラインを実行してほしい。画面遷移が漢字の「口」に変わるはずだ。

$ defaults write com.apple.dock workspaces-wrap-arrows -boolean NO
$ killall Dock

(注: デフォルトに戻す場合は、「-boolean NO」を「-boolean YES」にして実行)