前回はマナーの基本中の基本である正しい挨拶とお辞儀の仕方についてご説明致しました。今回は会話の中に入れるとよりマイルドになる『クッション言葉』や『気づかい言葉』と、とっさの時に焦らないための『上座・下座の位置』についてご説明できたらと思っています。

ソフトな印象を与える『クッション言葉』

挨拶やお辞儀が上達したら次は相手との会話が始まります。特にお客様や取引先には丁寧に話しかけたいところです。その際、話の内容が頼み事やお願い事、断り事などの場合はどうしたら良いでしょうか。相手が受け入れてくれるだろうか、嫌な気持にならないか少し不安になります。そういう時こそ『クッション言葉』を使ってみましょう。

『クッション言葉』というのは会話の最初に付ける文字通りクッションの役目をしてくれる言葉です。「恐れ入りますが」「失礼ですが」「申し訳ございませんが」等があります。上手に使えばいきなり要件に入るよりもソフトな印象を与えられます。

例えば、「恐れ入りますがもう少々お待ち頂けますでしょうか」「申し訳ございませんが、あいにくこの日は予約がいっぱいでございます」というように使います。その他にも「お手数ですが」「ご面倒ですが」「よろしければ」「お差し支えなければ」などがあり、これらも会話の前に特に人にお願いする時などに使うことによってその後の相手との会話をスムーズにすることができますので機会に応じてどんどん使ってみてください。

相手の状況に合わせて気を遣う『気づかい言葉』

クッション言葉の他に『気づかい言葉』というものもあります。これは「お忙しい中」「お気をつけて」「お寒い中」などです。こちらも文字通り相手を気遣う言葉で、一見簡単そうですが慣れていないとなかなかすんなりと出てきません。

私の働くTBCグループでもエステティックサロンにいらっしゃったお客様に感謝の気持ちを込めて会話に入れるようスタッフに教えています。お帰りの際などに「お寒い中お越しいただきましてありがとうございます」「お気をつけてお帰り下さいませ」というように使います。

相手の状況に合わせ一言添えると気づかいのできる人物とみなされあなたの印象はアップするはずです。言われた方もきっと温かい気持ちになることでしょう。

状況や相手の希望で変わる『上座と下座の位置』

では次に『上座と下座の位置』についてご説明したいと思います。急に会食などへ出かけることになり、出かけた先で慌てて上座の位置に迷っていてはあまりスマートとは言えません。ここでは基本的な位置と考え方をお伝えします。

まず、上座というのは一番目上の人が座る席です。取引先と一緒の場合はお客様の序列が一番上の人から上座に座ることになります。

一般的には出入り口から一番遠い席が上座になり、出入り口に一番近い席が下座になります。また、和室で床の間や絵画がある部屋の場合はそれに近い席から上座になります。

この基本を覚えておき出かけた先でどこが上座か考えてみましょう。相手をスムーズに上座へ誘導し座ってもらえたらその後の会食も和やかに進むでしょう。

食事が終わった帰りのエレベーターやタクシーでも気を抜かず上座を気にしたいものです。エレベーターでは先に相手に乗って頂き自分が最後に乗り込みます。そして開閉ボタンのある場所に立ちましょう。エレベーター奥の、開閉ボタンのある場所の対角線上が上座となり相手に立ってもらう場所です。

タクシーでの上座は運転手さんの後ろの席になります。お客様が複数いる場合はその次が助手席の後ろ側、後ろの真ん中と続き、助手席が下座となります。

ここでひとつ付け加えたいのは、これはあくまで一般的な例です。景色がきれいに見える席があれば上座下座に関わらずその旨を伝えて眺めの良い席を勧めることも大切ですし、出入り口が近い席がいいと自らおっしゃるお客様がいる時もあるでしょう。

このように席順は場所や状況や相手の希望等で臨機応変に対応しなければなりません。でも不安になることはありません。大切なのはどんな場合でも相手を敬い気遣いながら状況を見極め、良い席を自分から譲ることです。自分が大切にしてもらえたと感じた相手は良い気持ちで時間を過ごすことができ、あなたのビジネスチャンスも広がっていくことでしょう。

次回は第一印象をさらに良くする『身だしなみとファッション』についてお話ししたいと思います。好印象のおしゃれでファッションも味方につけていきましょう。

執筆者プロフィール:名越 華子(なごや はなこ)


大学卒業後、TBCグループ株式会社入社。入社2年目より秘書として勤務。日々の秘書業務を活かし敬語やマナー等本の監修や講演をし、若手の育成などにも力を注ぐ。

その後マーケティングPR戦略部広報室に所属。TBCが掲げるTotal Beauty Communicationsの略であるTBCの窓口として美容や健康の情報を発信。秘書検定1級、青汁マイスターの資格を持つ。

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