簡単操作で出力用途に適したシャープネス処理を実現
【2009年3月号掲載】



スペック

[発売元] ソフトウェア・トゥー [価格] パッケージ価格:2万7,300円、アップグレード価格:1万3,650円 [OS] Mac OS X 10.4以上 [メモリ] 512MB以上 [備考] PowerPC G4/G5、またはインテルCPUを搭載したMacに対応。Adobe Photoshop CS2~CS4、Adobe Photoshop Elements 4.0/6.0、Aperture 2.1以上 [掲載号] 「Mac Fan」2009年3月号

OVERVIEW

画像のシャープネスは、デジタル写真の出来を大きく左右する重要なポイントだ。適切なシャープネス処理を施していないばかりに、狙いのはっきりしない仕上がりになってしまって、歯がゆい思いをした人は多いのではないだろうか。

デジタル写真に携わるプロの多くは、Adobe Photoshopの「アンシャープマスク」という機能を使って最終的なシャープネス処理を行うが、この機能でどのくらいの数値を入力すればいいか決めるのは非常に難しい。本製品は、そんな勘と経験が頼りだった出力前のシャープネス作業を、プリセット中心の簡単な操作で最適に行ってくれるプラグインソフトだ。

(1) 使いやすく一新されたインターフェイス
ニックソフトウェア製品に共通するシンプルなインターフェイスに一新された操作ウインドウ。複雑な操作を行うことなく、短時間で最適なシャープネス作業が可能になった

開発元のニックソフトウェアは、プロフォトグラファー御用達のプラグインメーカーだ。本バージョンでは、同社製品の特徴でもある、画像の一部を容易に選択できる「Uポイントテクノロジー」を搭載し、画像全体だけでなく部分的な処理を施すことも可能になった。

FOCUS ON

本製品の操作は、出力先を選ぶことから始まる。WEBページなど画面で見る画像なのか、印刷なのか、インクジェットなのか、用紙は、解像度は、と対話するように設定を行えば、それに適したシャープネスを設定してくれる。どれだけの数値が適正なのかを迷う過程がなく、スムーズに使いこなすことができた。

(2) 基本はプリセットから
前バージョンでは出力用途ごとに複数のラインアップがあり価格が異なっていたが、本製品ではすべての出力デバイスに対応。従来よりもコストパフォーマンスが向上した

(3) ステップを踏んで最適設定
順を追って設定していくだけで、勘と経験を排除した的確なシャープネス作業が実現。また、一回一回選択しないで済むように設定をプリセットとして保存できるのは定型作業の多いプロユーザにうれしい仕様だ

また、本製品がユニークなのは、RAW現像直後に現像によって失われたディティールまでを復元させる機能があることだ。もともと被写体にあったディティールを最大限に表現しようとする点は非常に好ましい。また、用意されているプリセット設定も非常に納得のいくものだ。画面上ではやや過剰補正に感じられるが、実際のプリントはまさに適性といえる仕上がりが得られた。

(4) 比較しながら手動補正も可能
補正前と補正後を比較しながらマニュアルで調整を追い込んでいくこともできる。画面上で出力結果をシミュレーションできるソフトプルーフ機能を併用すればさらに的確な補正作業が可能

シャープネス処理を施すと、どうしても人肌などのデリケートな階調部分をざらつかせてしまいがちだが、ニックソフトウェアのお家芸ともいえるUポイントテクノロジーで、特定箇所のシャープネスを弱めたり強めたり自在な調整が可能になるのも面白い。これを積極的に使うことで、意図的に画像の遠近感を演出することまで可能になる。

(5) 部分的なシャープネス適用も
Uポイントテクノロジーとは、選んだ場所と階調の近いエリアを適用範囲として選択する機能。複雑なマスク作成なしに部分的な調整作業を容易に行うことができるのが大きな特徴

主にプロ用途のソフトではあるが、デジタル一眼レフが普及し、写真愛好家が増える昨今、高品位なプリントを望むハイアマチュアにも勧められる存在だ。

AFTER REVIEW

習熟が難しく勘に頼ることの多かったシャープネス作業を、簡単かつ的確に行えるプラグインとして非常に実用性が高い。しかし、その単機能に2万7,000円台は高価だと感じる人は多いのではないだろうか。出力へのこだわりがどのくらいあるかで価格への印象は変わるだろう。なお、Photoshopの自動処理に組み込むことができるので、大量の写真を日々扱うユーザなら作業時間の短縮も期待できるだろう。