カメラマンの作業を知り尽くしたフィルタ集
【2008年5月号掲載】



スペック

[発売元] ソフトウェア・トゥー [価格] 3万7,590円 [OS] Mac OS X 10.4以上
[メモリ] 256MB以上 [備考] Photoshop CS2~CS3、Photoshop Elements 1.0~4.0、またはPhotoshopプラグインと互換性のある画像編集ソフトウェア [掲載号] 「Mac Fan」2008年5月号

OVERVIEW

Photoshopを使用するカメラマンの場合、色調の補正やレタッチ、作品の作り込みなどにPhotoshopを使用しているのではないかと思う。これらの作業は複数の処理の組み合わせとなり、ちょっとしたことでもいくつかの行程を踏む必要がある面倒な作業といえる。

本製品は、そのような作業の中でもカメラマンがよく使う、もしくは使いたいと思わせるような処理を簡単な操作で実現するフィルタ集だ。今回、バージョンが3にアップし、より多彩なプリセット項目とインターフェイスを一新しての登場となった。

(1) 整理された3分割ウインドウ
メインインターフェイスは、左側にフィルタリスト、真ん中にプレビュー画面、右側にコントロールと分けられた3分割ウインドウ。フィルタリストはタブで分けられており、自分のよく使うものを[お気に入り]に追加することもできる

基本的にはPhotoshopのプラグイン形式で使用するアプリケーションで、インストールされると表示されるパレットから作業したい項目を選択してクリックする。すると、編集のためのウインドウが開き、プレビュー画像を確認しながら細かな作業が可能となる。

(2) 自由に切り替え可能な画面(左)
プレビュー画面は元画像と適用後の2つを並べて表示させることができる
(3) 元画像は基本的には非破壊(右)
本製品での作業はレイヤーに蓄積されていくため基本的に元画像は非破壊で行われる。このため1度作業を行ったあとでも、レイヤーを消去することですぐに元画像に戻すことが可能となる

FOCUS ON

さて、さっそく使ってみた感想だが、まず、とにかくフィルタの種類が豊富なのに圧倒される。開発元がニコン系のソフトウェア会社ということもあり、カラー関係の補正をはじめ、肌の補正やモノクロ写真のコントラスト補正、グラデーションフィルタの再現など、利用できるフィルタは多岐に渡る。

個々のフィルタも、かかり具合を調整するパラメータが複数用意されており、同じフィルタでもパラメータ次第でガラリと印象が変わる。52種類のフィルタを搭載といっているが、それ以上のバリエーションを生み出すことができる。

バイカラーフィルタ

ヴィネット

オールドフォト

ハイキー

(4) フィルタ数は52種類
フィルタ名がわかりにくいものがあるが、試していけばその効果はわかる。フィルタはアクションにも組み込めるので、バッチ処理を行うことも可能だ

(5) パレットデザインは要検討
メインインターフェイスは、[フィルタ]メニューから呼び出せるほか、専用のパレットからでも呼び出せる。しかし、このパレットは用語や使用フォントなど検討の余地があると思う

ただし、インターフェイスには、まだまだ改良の余地がある。まず、クロスプラットホームで開発していることもあり、パレットのデザインに違和感を覚えた。Mac版ではMacのインターフェイスに沿った作りをしてほしいところだ。

また、日本語化が不親切で、パレットから選ぶフィルタ名などの用語がわかりにくいのも気になる。さらにいえば、ズームツールで画像をクリックするといきなり100%の拡大になってしまうが、作業する上では、やはりその途中の拡大率が欲しいところだ。

機能的には便利なものが揃っているだけに、操作性がそれらを活かし切れていないことは非常にもったいない。この辺は要検討の部分ではないだろうか?

AFTER REVIEW

ソフトの発想や方向性は素晴らしい。フィルタの種類も豊富で、コントロールも細かくできるのはいいと思う。アクションに組み込めるのも使い勝手がいい。しかし、インターフェイスはやはり気になる。馴れや好みの問題も多少あるのだろうが、MacプラットフォームではMacに合わせる必要があるだろうし、Photoshopをホストとしている以上、操作性もPhotoshopライクにしてほしいところだ。