ペン型で持ち運びが簡単! A4対応のフルカラースキャナ
【2008年9月号掲載】



スペック

[発売元] シーエフカンパニー [価格] オープンプライス [実勢価格] 5万7,000円前後 [OS] Mac OS X [解像度] 100~400dpi [インターフェイス] USB1.1/2.0 [サイズ/重量] W226×D13×H13mm/57g [備考] 8MB内蔵メモリ [掲載号] 「Mac Fan」2008年9月号

OVERVIEW

本製品は、57gと小型軽量でありながら、バッテリとメモリを内蔵したペン型のカラースキャナだ。驚くほど小さな形状のため、ぱっと見てスキャナだとわかる人はほとんどいないだろう。

(1) ペン型のコンパクトな本体
一見スキャナとはわからないペン型の本体。電源のオン/オフや解像度の切り替え、カラーモードなどの変更を行うボタンが中央に2つある。上部にUSBポートが搭載されている

(2) メモリーカードを挿入
本体端の蓋を開けて、microSDメモリーカードを挿入できる

本体内にはLED光源を内蔵し、A4サイズまでの原稿を100~400dpiの解像度でモノクロ、12ビットカラー、24ビットフルカラーでスキャンできる。内蔵のリチウムイオン充電池はUSB接続時に50分ほどで満充電され、35~40回程度のフルカラースキャンが可能だ。8MBのメモリを搭載しており、別途microSDカードを用意すれば、より多くの画像を保存できる。

単体のスキャンアプリケーション以外にもTWAIN対応ドライバが付属するため、Photoshopなどの対応グラフィックソフトから読み込んだデータを取り込める。本体はスキャンモードと解像度の変更を切り替えるボタンが2つのみとシンプルで、より細かな解像度の切り替えなどはMac側のユーティリティから事前に行う形となる。

FOCUS ON

フラットベットスキャナと違って手動でセンサを移動させるため、ゆがみのない取り込みにはコツが必要となる。A4原稿1枚を取り込むには約4秒から8秒程度かけて本体を移動させる。カラーモードや解像度でスキャン速度の調整が必要だが、スキャンが速すぎる場合にはLEDが点滅して速度を抑えるように促されるので、数回使用すれば要領はつかめるだろう。

また、フラットベットスキャナと比較すると、大幅な小型化やスキャンが手動だという構造上、画質や精度はやや劣るのは仕方がないところだが、このサイズで400dpiのフルカラーまでスキャンできる点は特筆に値する。カラーモードでは細かな箇所で偽色が発生しているが、ビジネス文書中心の取り込みであれば品質的な問題は少ない。

(3) 平らな面においてスキャン
本体底面にはセンサと連動するローラがあり、スキャンする文書は平らな面に置く必要があるため、見開きの本などをうまく取り込むことは難しい

(4) スキャンには慣れが必要
400dpiでフルカラースキャンしたサンプル画像。文字や画像はしっかり読めている。ただし、やや文字のゆがみが出てしまった。きれいにスキャンするには多少の慣れが必要だ

(5) ビジネス文書のOCRにも威力を発揮
Acrobat 8 Professionalで、400dpiで取り込んだ画像にOCRをかけてみた。カラーモードで細かな文字を取り込むとやや偽色が目立つが、取り込みの状態がよければ文章の抽出は可能だ。本製品にはOCRソフトは付属しない

本体に溜め込んだスキャン画像は、専用アプリケーションでMacに転送する。スキャン後に10数秒待たされることやバッテリとメモリの関係上、一度に大量のスキャンを行うにはやや厳しい。スキャナ側のメモリ消去もMac側から行う形となるが、一部分を選んで消去することはできず、まとめて転送する仕様となっている。快適に使用するには小まめに接続することが必要だ。

(6) USB経由で画像を転送
MacとUSB接続で接続し、専用アプリケーションでスキャンした画像を取り込む。スキャンアプリ上からはプレビューでの表示や画像の保存が可能だ。Mac側に転送された画像はまとめて「PenBank.tiff」というファイル名で[Preferences]フォルダ内に保存されている

AFTER REVIEW

本製品の魅力は持ち運びが容易なサイズということに尽きる。仕事の外出先で書類のスキャンを行うという場面では唯一無二の製品だ。半面、持ち運ぶ必要がなければ、割安なフラットベッドスキャナを購入したほうがお買い得だ。また、スキャナユーティリティがLeopardに完全対応しておらず、スキャンデータの保存ができない場合がある。TWAIN経由での読み込みやプレビュー経由での保存は問題ないが、ソフト面ではもう少し作り込んでほしい印象を受けた。