ビジネス用途でも十分活用できる!
MP610ベースの高性能ファクス複合機【2008年5月号掲載】


2007年10月から発売しているインクジェット複合機「PIXUS MP610」をベースに高機能化を図ったのが、「PIXUS MX850」だ。プリントやスキャン、コピーといったインクジェット複合機の基本機能に加え、ファクスや自動両面原稿送り装置(ADF)、有線LANといったオフィスユースを意識した機能が搭載されている。インクジェット複合機が家庭に広く行き渡り、市場が伸び悩みを見せる中、家庭だけでなく、オフィスでの利用も想定した注目の1台だ。その実力を検証していこう。


スペック

[発売元] キヤノンマーケティングジャパン [価格] オープンプライス [実勢価格] 4万円前後 [OS] Mac OS 10.3.9以降 [解像度] プリント:9600×2400dpi、スキャナ:4800×9600dpi [用紙サイズ] プリント:A4~ハガキ [インターフェイス] USB 2.0、100BASE-TX/10BASE-Tイーサネット [サイズ/重量] W508×D483×H260mm/約13.9kg [備考] 給紙可能枚数:普通紙300枚、インク:5色独立インク、ファクス通信速度:最大33.6Kbps(Super G3) [掲載号] 「Mac Fan」2008年5月号

OVERVIEW

プリントやスキャン、コピーといった基本機能に加えて、ファクスやADF、有線LANを搭載するなどして高機能化を図ったのが本製品だ。製品のベースとなっているのは、2007年の発売以来、市場で高いシェアを獲得している「MP610」。最小1pl(ピコリットル:1兆分の1リットル)のインク滴で最大9600 dpiの高解像出力が可能なプリントヘッドや、最大4800dpiの高精細CISスキャナ、多彩なコピー機能を搭載するなど、非常に高性能なインクジェット複合機だ。

(1) 35枚給紙の両面対応ADF
両面対応のADFは、A4最大で35枚の給紙能力を持つ。これだけの容量があれば、ビジネスユースでもコピーやスキャン、ファクスに便利に活用できる

(2) 有線イーサネット搭載
本体背面には、イーサネットポートを搭載。有線LAN環境のあるオフィスなどで、Macやウィンドウズで共有できる

また、本製品にはMP610同様、写真を自動解析して適正に補正してくれる「自動写真補正」機能、電源オンから約5秒でキー操作が可能になる「クイックスタート」、3種類のインク滴を効果的に使い分ける「3サイズドロップレット技術」といった2007年秋に同社プリンタで採用された新技術も搭載されている。

付加価値として加わったファクス機能は、前モデル「MP830」から大きな変更はない。スーパーG3規格に対応し、8件までのワンタッチ送信機能に加え、100件の番号登録、受信したファクスを最大250ページメモリに蓄積できるなど、ビジネス利用にも耐えうる仕様となっている。

(3) 2.5インチに大型化して見やすく!
MP830と比べて、2.5インチに大型化した液晶ディスプレイを採用。操作ボタンはファクス機能が付いているため多いが、大画面液晶を見ながら快適に操作できる

搭載するインクは5色で、写真印刷には染料ブラックインク、そして、コピーやファクスには顔料ブラックインクを利用する。

(4) 顔料ブラック採用でくっきり
インクはCMYに染料と顔料ブラックを追加した5色構成。写真には染料ブラック、テキストは顔料ブラックでシャープに印刷する

FOCUS ON

実機を見てまず驚いたのが、その大きさだ。ファクスやADFを搭載したモデルはとにかく大きくなりがちだが、本製品はMP830と比べて高さ方向に約3センチ低くなっており、数字以上に見た目もコンパクトだ。

(4) 見た目がとにかくコンパクト
ファクス&ADF付きのインクジェット複合機としては、高さが約26センチと、とにかくコンパクト。曲線的なデザインがさらに本体を小型に見せている

MP610がベースとあって、プリントやコピー、スキャンなどの機能・性能は申し分ない。写真プリントは6色インクに迫る画質でホームユースになら粒状感もなく十分に満足のいく品質だ。フォトショップからのA4写真印刷には1分17秒、2Lサイズならば21秒58と非常に高速なプリントが可能だ。

4800dpiと高い解像度を誇るスキャナは、紙焼き写真や雑誌などの反射原稿を高精細にスキャニングできる。1枚の用紙に4面割り付けてコピーする「4in1コピー」など多彩なコピー機能を搭載している点も魅力。普通紙のカラーコピーにかかる時間も、A4で24秒65とまずまずの時間だ。

(5) 粒状感ない良好な画像
フォトショップから、純正の写真用紙「プロフェッショナルフォトペーパー」にプリントした画像。スキャナから取り込んだ画像でもシャープさが損なわれていない

(6) 再現性の高いカラーコピー
普通紙へのコピーでも、品質は高く原稿にかなり忠実に再現される

(7) ドライバで細かな調整が可能
プリンタドライバで細かなカラー調整を行うことも可能だ

(8) 精度の高いファクス
ファクスの受信は送信側の精度によって変わってくるので一概にはいえない。画像系のデータは少々つぶれ気味だが、文字などは小さな部分も充分読み取ることができる

気になるファクス機能は、メモリに先読みしながらファクス送信を行うため、ADFからスムーズに紙が引き込まれていく。ADFは最大35枚と給紙可能枚数が多く、速度もMP830より高速化されている。MacではPCファクスに対応していない点がやや残念だが、ネットワークを介したスキャンは行える。

MP610という強い土台の上に、充実したファクス機能やADFを搭載し、ワンランク上の実力を身につけた本製品。ファクスやADFが飾り的に付いた製品もある中で、本製品はホームユースだけでなく、家庭やSOHOなどで頻繁にビジネス用途にも使いこなしたいユーザに最適といえる。

AFTER REVIEW

Macに対応したファクス搭載のインクジェット複合機としては、エプソンの「PX-FA700」もある。価格はMX850と比べて約1万円安いが、同製品はファクス機能はたまにしか使わないという人向け。有線LANも搭載していない。ブラザーの「MFC-480CN」は無線/有線に対応し、ファクス機能も充実していて、実売価格も2万5000円前後。しかし、プリントやコピー、スキャンといった性能はMX850のほうが上だ。
(※本製品は市場在庫のみとなります)