CDをはるかに凌ぐ高音質!
iTunesも録音できるレコーダ【2008年3月号掲載】



スペック

[発売元] ソニー  [価格] オープンプライス [実勢価格] 5万2,000円前後
[インターフェイス] MICジャック、ヘッドフォンジャック、ラインIN/OUT、光デジタルIN/OUT、USB2.0 [サイズ/重量] W72.0×H154.5×D32.7mm/約365g
[備考] 記録メディア:内蔵メモリ(4GB)、メモリースティックPRO-HGデュオ
[掲載号] 「Mac Fan」2008年3月号

OVERVIEW

本製品はCDをはるかに凌ぐ24ビット/96kHzでの高音質デジタル録音に対応したリニアPCMレコーダだ。プロやセミプロ、生録に興味のあるユーザに愛用されている上級機の「PCM-D1」の基本機能やコンセプトを受け継ぎ、ボディ材をチタンからアルミ/マグネシウム製に変更し、レベルメータ周りの簡素化などによって、低価格を実現している。

(1) プロ用録音機器の雰囲気(左)
「PCM-D1」に準ずるデザイン・機能を備えながら、一回り小型のデザインだ。全体のプロフェッショナルな雰囲気は継承されている
(2) 視認性の高いモノクロ液晶(右)
液晶画面はモノクロだが、視認性は高い。操作時にはオレンジに光り、録音レベルを液晶表示で確認できる

また、本製品では新たな改良も図られている。内蔵ステレオマイクは録音対象に合わせて調整できる可動式になったほか、本録音開始5秒前から録音開始する「プリレコーディング機能」や光デジタル入力、WAVE形式での録再に加え、MP3ファイルの再生機能などの機能も追加されている。

(3) 豊富な入力端子を装備
右側面にはマイク入力ジャック、光デジタル入力など、、左側面にはライン/マイク入力切り換えスイッチ、USB端子などが搭載されている

(4) ステレオマイクは独特の可変式
ステレオマイクは左右チャンネルを内向き「X-Yポジション」、外向き「ワイドステレオポジション」に調整可能。近接録音には内向き、広い音場には外向きが適する

データは4GBの内蔵メモリとメモリースティックPRO-HGデュオに記録でき、WAVE形式の24ビット/96kHz最高品質で約1時間55分録音可能だ。

FOCUS ON

内蔵ステレオマイクを使って楽器の音を24ビット/96kHzで録ってみたが、ノイズが極めて少なく、クリアで素晴らしい音質だ。音を圧縮しないリニアPCM録音なので、当然ながらiPodなどでの録音と比べるとクオリティが高く、音楽ソフトのリアル音源用としても大いに利用できるだろう。

(5) MacとはUSBケーブルで接続
付属のUSBケーブルでMacに接続すると外部ドライブとしてマウントされる。本体にメモリースティックが入っている場合は「MEMORYSTICK」と表示される

Macとの接続はUSBケーブルで行える。リムーバブルドライブとして認識されるのでドラッグ&ドロップでコピーでき、WAVEやMP3形式で録音したものならば、iTunesでそのまま再生可能だ。

また、逆にWAVEかMP3形式の楽曲を本製品にコピーすることもできる。AAC形式の再生には対応していないが、Macのデジタル出力から光ケーブルで本製品のライン入力につなげば、iTunesで再生している曲をそのまま録音可能だ。

(6) データ格納用のフォルダが作成済み
アイコンをダブルクリックで開いてみると、10個のフォルダはデフォルトで作成済みで、各々99トラックまで保存できる。MSGLIST.MSFはフォルダや録音日時などの情報ファイルだ

この場合、再生時間が録音時間となり時間はかかるものの、CDから取り込んだ曲のほか、iTunesストアで購入した曲も録音できる。CDから直接WAVEに変換しておけば、音質もほとんど劣化せず、iPod以上のサウンドで楽しめるのが魅力だ。

付属ソフトがMac未対応だが、それでも前述のようにMacとの連携はできる。iPodに飽き足らない音楽ファンや生録ファンなら、ぜひとも1台揃えておきたい逸品だ。

AFTER REVIEW

「PCM-D1」は実売で17万円前後する高級モデルだが、その機能や性能を継承しながら、3分の1程度の価格を実現したのは素晴らしい。追加された機能によって、使いやすくもなっている。iPodなどの圧縮音声プレーヤも性能向上は目覚ましいが、まだまだ「生の音を録る」という作業において、リニアPCMレコーダには勝てない。iPodの代わりに持ち歩くにはやや大き過ぎるが、その気になれば高音質音楽プレーヤとしても常用できるはずだ。