本当にMacとSony製品の相性は悪いのか?

iPodのヒットなど外部要因もあり、世界規模で見るとシェアが拡大傾向にあるとされるMacintoshシリーズだが、サードパーティー製周辺機器の対応状況は相変わらず寂しいものがある。いわゆるデジタル家電の場合、メモリカードのように特定のプラットフォームに依存しない記憶装置を採用していれば、データの取り込みは容易だったりするが、付属のソフトはWindows版のみ、ということはザラだ。

あえて名指ししてしまうが、Sony製品はその傾向が強いように感じる。Cyber-shotシリーズやHandycamシリーズに付属の管理ソフト「Picture Motion Browser」はWindows専用、なくても写真は取り込めるが、GPSデータの書き込みなどWindowsでなければ面倒な(手間はかかるが可能)作業もある。ウォークマンに至っては、Windows専用ソフト「Sonic Stage」がなければ楽曲を転送することすら難しい。Macの市場はWindowsに比べ小さく、SonyはVAIOという重要な製品シリーズを抱えている事情を考えれば、Mac対応が二の次になるのは仕方のないところか。

「iMovie '08」でサポートされたSony「HDR-SR7」、買いました

とはいえ、当コラムでも幾度か取り上げているとおり、SonyにはMacユーザにとって魅力的な製品が多いことも事実。特にHDビデオカメラに限定した場合、選択肢の少なさもあいまってSony製品を避けて通ることは難しい。そこに、先日リリースされた「iMovie '08」がSonyの「HDR-SR7」をサポートしているという情報を確認できたため、これ幸いとばかり金11万円也で購入した次第。実際にiMovie '08で認識されるのか、どのように接続するのか、USBマスストレージとして使えるのか……など、Macユーザの立場からHDR-SR7を眺めてみよう。

液晶画面は最大90度まで開くことができる

HD録画モードにはビットレートの異なる4つのサブモードが用意されている

ちょっと……なハンディカムステーション

今回購入したHDR-SR7は、1080i記録が可能な民生品ビデオカメラでは世界最小/最軽量(発表当時)という触れ込みで登場した「HDR-CX7」の姉妹機という位置付け。記録媒体にはメモリースティックの代わりに60GBのHDDを採用、100GBのHDDを搭載したHDR-SR8より若干お手頃価格だが、ビデオカメラとしての基本性能は共通している。スペックなど機能の詳細は、こちらを参照してほしい。

PCとの接続には、USB 2.0を利用する。ただし本体にはUSB端子がなく、付属の「ハンディカムステーション」に載せなければならない。この周辺機器にはUSB端子のほか、充電用のDC IN端子、A/V OUT、D端子に出力できるCOMPONENT OUT端子が用意されているが、なぜかHDMI端子は省略されている(本体にミニHDMI端子はあるのに)。

"Macでどう使うか/使えるか"だが、筆者が購入したHDD内蔵のHDR-SR7の場合、映像はHDDに記録されるため、USB経由でMacに接続しなければならない。1基用意されたメモリースティックスロットは静止画専用で、動画の保存には利用できないからだ。つまり、ハンディカムステーションなしにはMacに接続できないため、HDR-CX7などメモリースティックを使用するタイプと比較して機動性は落ちる。

このようにハンディカムステーションに載せなければMacに接続できない

ハンディカムステーションの背面

本体にはタイプCミニのHDMI端子を装備しているが、なぜかハンディカムステーションでは省略されている

iMovie '08でバッチリ使える!

HDR-SR7をUSBケーブルでMacと接続し、液晶パネル左側の「パソコン接続」をタッチすると、HDR-SR7内蔵のHDDはFAT32フォーマットのリムーバブルディスクとしてマウントされる。ルートには「AVCHD」や「DCIM」などのフォルダがあり、そのうちAVCHDが映像用、DCIMが静止画用として利用される。AVCHDフォルダにはサブフォルダ「BDMV」が配置され、さらに下位にはSTREAMやPLAYLISTなどのサブフォルダが用意されている。

左側の「パソコン接続」をタッチするとマウント開始

BDMVフォルダの内部。これをMacにコピーするだけでは映像をキャプチャできない

iMovie '08にデバイスが検出されると、自動的にキャプチャ可能なビデオクリップが表示される

以前はこのBDMVフォルダをローカルへ一括コピーし、「FinalCut Studio 2」などのアプリケーションを利用することが、Macにおける数少ないAVCHDムービーのキャプチャ方法だったが、iMovie '08ではもはやその作業は必要ない。HDR-SR7がマウントされた状態でiMovie '08を起動するだけで、HDD上のビデオクリップのサムネイルが現れ、Macに取り込むことができる。

1080iで撮影したビデオクリップの場合、キャプチャ時の設定は「大」(960×540ピクセル)と「最大」(1920×1080)のいずれかを選択できる。ダイアログにも表示されるが、「最大」はMacBook / ProやMac miniでは再生時にコマ落ちなどの問題が発生する可能性があるため、高速な3.5インチの外部HDDを利用したほうがいい。

HDD速度のみならずビデオクリップの大きさを考えても、高速な外付けHDDの用意は必須だろう

ともあれ、iMovie '08がリリースされた今、製品付属のアプリケーションには頼れないMacでも、Sony製HDビデオカメラの利用が容易になった。HDR-SR7にかぎらず、こちらに掲載されている機種はサポートされるので、機種選定時の目安にするといいだろう。

○Sony 「HDR-SR7」
(Mac/iMovie '08での利用を前提として)
機能 ★★★★★
価格 ★★★★
楽しさ ★★★★
怪しさ -
衝動買い ★★★
TOTAL ★★★★