コーヒーは成人病の妙薬なり

"夜なべの友"のアイスコーヒーを美味しく飲む

筆者は一日に4、5杯のコーヒーを飲む。朝起きて1杯、10時頃に1杯。昼食後に1~2杯、3時頃に甘味とともに1杯。緑茶も飲むが、迷ったときにはコーヒーを選ぶようにしている。

その理由は、コーヒーが持つといわれる薬理効果。コーヒーにはニコチン酸なる物質が含まれ、一日数ミリグラム程度摂取すると、血液中のコレステロール値を下げる効果があるという。あと3年で不惑の年を迎える身、動脈硬化など成人病の予防を真剣に考えていい時期に差しかかっているが、忙しさもあって運動量を増やすなど抜本的な対策は講じにくい。コーヒーを飲むだけでコレステロールを抑制できるのならば、まさに願ったり叶ったりなのだ。

夏はキンと冷えたアイスコーヒーの美味しい季節だが、淹れるのは少し面倒。冷蔵庫で冷やせるようになるまで粗熱を取る時間を含めると、口に入るまでには結構な時間がかかる。ペットボトルや紙パックに入った出来合いのものや、インスタントを利用するという手もあるが、自分が挽いた豆で淹れたほうが断然美味い。コレステロール撃退という名目もあるが、味わう喜びがなければ継続も困難というもの。

そんなとき目に入ったのが、ハリオグラスの「HARIO MCP-14」。早い話が水出しコーヒー抽出ポットだが、挽いたコーヒー豆と水をセットし一晩おくだけで出来上がり、というイージーさが魅力の一品だ。所有欲を満たすKOMONOもいいが、必携アイテムともいえるコーヒーを美味しく飲むのも重要、というわけでここに取り上げる次第。

耐熱ガラスでできたポットと、ストレーナーの2つのパーツで構成される

取っ手部分はネジ止めされている。サビなければいいのだが……

コツは特になし、作り方はまさにイージー

「HARIO 水出し珈琲ポット」の構造は、どちらかといえばシンプル。周囲にメッシュを巡らせたプラスチック製装置(ストレーナー)が、水を張ったポットの上部に引っかかり、時間をかけてコーヒーを抽出するという仕組み。筆者が購入したMCP-14以外にMCP-7という型番の製品もあるが、MCP-14が8杯分(約1リットル)でMCP-7が5杯分(約600ミリリットル)という容量の違いを除けば、構造もストレーナーのサイズも同じだ。どちらにするか迷ったときには、冷蔵庫の大きさと1日に消費するアイスコーヒーの量で決めればいい。

ストレーナーにセットする豆は、アイスコーヒー用の深煎りタイプが推奨されている。MCP-7の場合は50g、MCP-14の場合は80gの豆を中細挽きにしてストレーナーに投入、ポット上部にセットすれば準備完了だ。なお、ストレーナーの「●」をポットの注ぎ口にあわせてセットしないと、フタを外すときストレーナーごと持ち上がってしまうので注意。

コーヒー豆80gはコーヒーカップ山盛り1杯分

ストレーナーはこのように「●」が注ぎ口に合うようセットする

ちなみに、筆者が利用した豆はUCCのレギュラーコーヒー「モカブレンド 400g」。近所のスーパーで購入したもので、あえてもっとも入手しやすい商品を選んだつもり。豆を挽くのに使ったコーヒーミルは、ナショナル製の「MK-61M」。こちらも入手しやすく、家庭用の電動コーヒーミルとしては定番といってもいい存在。もちろん、挽いた状態で販売されている粉を使用しても構わない。

コーヒーミルで豆を挽くところ。説明書によれば、中細挽きがお勧めとのこと

中細挽きに挽いた豆。あとで載せた豆と比較してみよう

挽いた豆をストレーナーにセット。ピッタリ80gなのだが、説明書どおりメッシュ部一杯とはならなかった

ドリップの手順だが、付属の説明書には「粉全体が湿るように少量づつ水を注ぐ」とある。水をバンド(ポット上部を覆っているプラスチック製の部品)に隠れる位置まで注ぎ、その後「粉と水をなじませるため、ストレーナー内をスプーン等で軽く・ゆっくりとかきまぜる」とあるので、その通りにやってみた。かきまぜすぎると苦みの原因に……とあるが、実際には粉がみっちりと詰まりかきまぜにくいことこのうえないので、気にしなくてもいいだろう。

粉の挽き方によるのかもしれないが、この「少量づつ水を注ぐ」という作業は、結構な時間を要する。最初のうちはドリップ後の液体が勢いよくポットを満たしていくが、粉でメッシュが目詰まりするのか、次第にポタポタ滴る感じになる。気が短い筆者は、どうせストレーナーは水に浸るのだから結果はさほど変わらぬはずと、ポットの半ばほどに達した時点で水をドバッと足してしまった。

味はスッキリ&まろやか

一連の作業を終え冷蔵庫に入れたのは夜10時、いつもどおり朝6時に起きてポットを見ると……色合いは水を注いだ時点とさほど変わらない印象。グラスに注ぐと少し油膜が浮いた(抽出時に使うお湯の温度が高いときに発生しやすいとされる)ものの、香りはよく、濁りもなさそう。

グラスに注いだところ。一見してお湯からドリップしたコーヒーとの違いはない

油膜が浮いていたが、原因は水温? 豆の煎り方?

肝心の味だが、予想よりスッキリした印象。香りとコクはお湯から抽出したときのほうが勝るような気もするが、エグ味が少ないというか甘みがあるというか、強いて言えばまろやかな印象。コーヒーは豆の鮮度や挽き加減で味が大きく変化するため、どの豆が水出し用にベストなのかは、今後試行錯誤しながら検証するしかなさそうだ。

今回は、グラフはお休みです