ケータイのコンテンツというと、パケット通信で閲覧する「サイト」を想像しがちだ。実際、各事業者やコンテンツプロバイダーが打ち出すサービスの多くが、インターネットないしその仕組みを利用したものである。だが、それだけがすべてではない。そこで今回は、ソフトバンクが打ち出す音声サービス、「おしらべダイヤル*111」に注目した。

専任のコンシェルジュがユーザーのニーズをくみ取る

「おしらべダイヤル*111」とは、ソフトバンクの音声サービスのひとつで、飲食店や各種施設、乗換案内といった情報を、ユーザーに代わってオペレーターが検索してくれるもの。検索の対象は「施設案内」「飲食店」「宿泊情報」「映画」「乗換案内」「レシピ」の6つで、料金は1秒3.15円となる。検索結果はSMS(ショート・メッセージング・サービス)で返され、結果は文字情報として見ることが可能だ。

検索結果はSMSで送られてくる。このメールから、情報が載った各サイトにアクセスする仕組みだ

これだけ聞くと、「自分でYahoo!ケータイを使って検索した方が安いし、早いのでは」と考える方もいるだろう。だが、それはあくまでも当初から行きたい場所がはっきりしており、適切な検索キーワードが自分ですぐに導き出せる場合だけだ。ソフトバンクモバイル 情報システム・CS統括本部 カスタマーサービス本部CRM推進部 部長の大塚泰弘氏はこう話す。

「階層の深いところから、専門性の高い情報を引き出すのは、簡単ではありません。『おしらべダイヤル*111』は、ポータル系のサイトや専門サイトを運営している会社と個々に話し合い、数百のデータベースの中から適切な情報を探し出すサービスなので、お客様の曖昧な要望からも、目的のお店や施設を探し出すことができます。人手を介さずに自動的に集まった情報を、あえて人の手を介してまとめていくというのが、このサービスのコンセプトになります」

今回の話を伺った、(左から)ソフトバンクモバイル 情報システム・CS統括本部 カスタマーサービス本部CRM推進部 部長 大塚泰弘氏、同部 CRM企画課 課長 瓜生法考氏、同部 佐藤剛氏

土地勘のない街で急に決まった二次会のお店を探す場合など、検索キーワードすら分からない、という経験はしたことがないだろうか。こういった、曖昧さを処理できるのも、"人"を介しているからこそ。同サービスでは、結果を導き出すために「例えば、『おいしいものが食べたい』と聞かれた場合、何がおいしいと思っているか、今どの場所にいるのか、ということを対話しながら引き出していきます」(大塚氏)という。

利用しているデータベースは「提携しているサイトなどから、数百以上のデータベースを用意しています」(大塚氏)という。ポータル系のサイトや、専門性の高いサイトなどを多岐に渡って取り揃えているため、ユーザーがポータルサイトでさっと調べるよりは、はるかに多彩な情報が、わずかな時間で集まるそうだ。

ユーザーの要望を適切に引き出し、必要な情報を一式取り揃えるというのは、高級ホテルのコンシェルジュに近いコンセプトといえる。配置されている人材も「専属の人を当社でトレーニングしています」(大塚氏)というように、専門性が高く、コンシェルジュのように、1日のコースを組み立てることもできるという。

「1日遊べるドライブコースを考えてもらうこともできます。今だったら、例えば、ぶどう狩りから、日帰り温泉、途中で寄れるパーキングなど、1日の流れ組み立てることも可能です」(ソフトバンクモバイル 情報システム・CS統括 カスタマーサービス本部 CRM推進部 CRM企画課 課長 瓜生法考氏)

ユーザーの要望に合わせサービスを強化

開始当初は「飲食店」「宿泊情報」「映画」「乗換案内」「レシピ」という、5種類のジャンルで行っていた同サービスだが、4月に行われた無料キャンペーン期間後に、「施設案内」を加え、6ジャンルに拡大したという。とはいえ、「施設案内」は、実質的にジャンルがあってないようなもの。宿泊情報や乗換案内とは異なり、対象となっている施設はあらゆる方面に渡る。

「お客様の要望を聞いたところ、もっと(幅広い)情報を知りたいというものが多く、無料キャンペーン後に『施設案内』を入れることになりました。ガソリンスタンドやカラオケボックス、温泉などなど、非常に大きなジャンルなので、複雑なご要望にもお答えできるようになっています」(ソフトバンクモバイル 情報システム・CS統括本部 カスタマーサービス本部 CRM推進部 佐藤剛氏)

また、「ご要望のあるジャンルを増やしていくことは、日々検討しています」(大塚氏)というように、利用動向次第では、サービス内容が拡充される可能性も十分考えられる。

利用しているユーザーは「どちらかというとITリテラシーが高そうな、20~30代男性の方が多いですね」(佐藤氏)。リテラシーが高いからこそ、インターネット検索の限界を分かっているのだろう。ユーザーの満足度も高く「リピーターも多く、一度使ってくれた方が満足していることが分かります」(瓜生氏)という。

では、実際にサービスを利用するにあたっての注意点や、知りたい情報を素早く得るコツはあるのだろうか。次回は、「おしらべダイヤル*111」の利用ガイドをお届けしたい。