地域によっては、もうとっくにでしょうが、筆者のいる南関東でも、そろそろ暖房器具を引っ張り出してくる時期になりました。以前のコラムにも書きましたが、筆者はのメインの暖房器具はオイルヒーターです。オイルヒーターは、火を使わない、表面があまり熱くならないなどといった、安全面のほか、エアコンやファンヒーターなどとは異なり、運転時に風を起こさないといった、快適性ので面でも、なかなか優れた暖房器具です。オイルヒーターならではのスタイルも、インテリアとしてなかなか魅力的です。ただ、暖まるのが遅い、部屋がそのオイルヒーターの出力にマッチしていないと、そもそも部屋が暖かくならない、電気代の明細を見るのが憂鬱だ、といった、オイルヒーターならではの問題も存在します。これらののほかに、オイルヒーターは、大きくて重くて固いという問題も抱えています。たいていのオイルヒーターには、キャスターがついていて、自分のそばに運んでくることができるようになっているのですが、フローリングの床ならばともかく、じゅうたんなどが敷いてあったりすると、その重さはけっこう負担になります。また、オイルヒーターの角に足の小指をぶつけた場合、たんすの角に足の小指をぶつけたとき以上に、とんでもなく痛いというのを、筆者は経験上知っています(X字型やF字型のフィンを採用しているデロンギのオイルヒーターならば、こういった心配は少なくなるのですが)。

さて、そういったオイルヒーターの問題点のいくつかを解消するのが、パネルヒーターという選択肢です。パネルヒーターには、灯油を燃やしてそれを熱源にするタイプや、富士通ゼネラルが販売している温水ルームヒーター(セントラルヒーティングの室内機のようなもの)などもありますが、一般的なのは、やはり電気式の製品でしょう。さらに、電気式のパネルヒーターにも、表面が熱くなるタイプと、表面があまり熱くならないタイプとがあります。表面があまり熱くならないタイプのパネルヒーターは、形こそ大きめの電気ストーブといった感じですが、パネル表面からの輻射熱と自然対流によって部屋を暖めるもので、使い勝手はどちらかというとオイルヒーターに近い製品です。

写真は、筆者の実家で使っている、エレクトロラックス製のパネルヒーター「EPH812」です。1200Wのモデルで、鉄筋コンクリートのマンションだと、8畳ぐらいまでの部屋でならば十分に使えます。同社のパネルヒーターは、全て、表面の温度があまり高くならないタイプです。現行モデルは「EPH912」「EPH812」「EPJ12RB」の3機種ですが、いずれも、最大出力時の消費電力は1200W。EPJ12RBがスタンダードモデルで、電源のオン/オフと、本体右側にあるダイヤルでの温度調節機能を備えます(この温度調節は、オイルヒーターに備わっているものと同じタイプで、ヒーターの出力を可変させるのではなく、設定した温度になるとヒーターをオフにするというタイプ。室温が下がれば自動的にオンになる)。EPH812には、ヒーター出力を1200W/600Wに切り換える機能が、EPH912にはさらに、おやすみタイマー、消し忘れ防止タイマー(8時間無操作だと、電源が切れる)、チャイルドロックなどが搭載されてます。

オイルヒーターに近い快適さを、手軽に味わえるパネルヒーター。写真はエレクトロラックスの「EPH812」。ホワイトをベースとしたデザインが特徴の「mjuk vit」シリーズ。操作部分はシンプル

パネルヒーターとオイルヒーターの最大の違いは、その軽さによる、取り回しのしやすさです(オイルヒーターは、オイルの入った金属の塊なので仕方がないといえば仕方がないのですが)。片手でも簡単に移動させることができます。また、カーボンヒーターやハロゲンヒーターのような、超即暖というわけには行きませんが、比熱の高いオイルを使用していないため、オイルヒーターよりも、暖まるのは速くなります(部屋全体があったかくなる速度にはそれほど差はないが、暖かく感じるまでの時間はパネルヒーターの方が圧倒的に短い)。

パネルヒーターは、見た目が、電気ストーブを大きくしたような形となっているので、スタイルが気に入っていてオイルヒーターを使っているという人は、残念ながら、オイルヒーターの代わりにはならないでしょうが、そうでない場合、オイルヒーターを使っている、あるいは使っていた人間にとって、非常に快適に感じられる暖房器具だといえるでしょう。